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第114話

   リク・サコダは言われた通りに玄関で靴を脱いだ。様々な方向へ向いて転がる靴を直そうにも片腕が使えないので早々に諦める。   「お邪魔しま〜す」 「……本当に来たのか…」    ひょっこり顔を出す不死身の男は少し嫌そうにして現れ、サコダの背負っていた重たいリュックを代わりに中に運ぶ。   「いんやー、申し訳ないっすね。」 「…」    普段仲間を頼ることをしないノエルがサコダに頼み事なんてとても珍しい。異変が起こった時、直ぐに対応が出来るとサコダは不死身の監視を任されたのだ。   「……適当に座ってくれ。」 「はーい。なんか喉乾いたァ…」  図々しい、そう言われても図々しいのでなんとも思わない。人の家だろうが何だろうがサコダはソファーにどっかり座りお客様気分だ。   「…お茶を入れるから少し待ってくれ」 その間に男は部屋の隅から隅を観察した。全体的に整理整頓されスッキリしているリビングは面白みがない。ウィルソンはフェルトマイアーが選んだ紅茶を持ってやってくる。   「…私を見張るために来たのか?」 「そーすよ。何かあった時すぐ対応出来るっしょ。」 「怪我人がいた所で…」 「何、俺片腕使えなくても敵は倒せるんすよ!何せおにゅーの拳銃持ってきたんすから!」    サコダはそう言ってウィルソンに拳銃を見せびらかした。知り合いの古物コレクターのおじさんから粘って売ってもらった振出式(スウィングアウト)の回転式拳銃だ。ヒラキ・ライトに拳銃を奪われたので代用として持ち歩いている。   「……オートマチックの方が使い勝手がいいんじゃないか?」 「分かってないなあ〜!なんかほら、かっけぇじゃん!渋い男みたいな?まぁとにかくお気になんすよ」   自慢を終えてサコダは内ポケットに慎重にしまう。ズズ、と音を立てて紅茶を啜った。喉が渇いていたので一気に流し込む。   「にしてもおにーさんは愛されてるんすね」 「…愛されている?」 「そうっすよ。先輩基本他人とつるむのとか大っ嫌いでナチュラルに見下してたからさ。あの人がおにーさんの事隠して匿ってたのも、俺に監視を頼んだのもそうじゃなきゃ説明つかないっすね」 「………そう、か」    ウィルソンは複雑な表情をして俯いた。サコダは意外に思う。二人はデキているとばかり思っていたがどうやらそういう単純な話でもないようだ。   「でもまさかおにーさんがあの帝国美術館の監視プログラムに写ってたゾンビ男だとは思わなかったすよ」 「…ゾンビ男?私はそう言われていたのか」 「そうそう、だって内臓はみ出てるのに歩いてたからさ。」    サコダは陽気にゾンビの真似をして見せて、一人でケラケラ笑っている。   「でもやっぱデータベースは外付けタイプがいいんすかね?…ほら、監視プログラムに照合されないっしょ、個人情報とか。俺は産まれてすぐ脳みそ弄ったタイプすからちょっと羨ましいかも…」     (…あれ?なんでこんなに眠いんだ…?)    地面に体が引っ張られていく。意識が無理やり眠りな引きずり込まれ抵抗が出来ない。サコダの胸元をまさぐった手は、自慢したばかりの拳銃を奪い取る。   「お前本当にバッジ付きか?…これは少し貸してくれ」と低い声が呆れたように呟いた。      玄関の扉が開かれ、そして閉まる音。    

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