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◾️第12章 先生、もう俺は魔導士です

桜が、再び淡く満開に咲き乱れる季節が来た。 俺は魔法ギルドの門の前で立ち止まり、ゆっくりと息を吐いた。 去年と同じ場所。同じ桜の木の下。 なのに、胸の奥が痛いほどざわついている。 (……まだ、疼いている) うなじが熱を持ち、下腹の奥が甘く収縮する。 それだけで、体が勝手に反応してしまう。 ゆっくり振り向くと、そこに神崎透が立っていた。 「……七瀬」 低い声が鼓膜を震わせた瞬間、俺の魔力が激しく跳ね上がった。 「先生」 透の眉がわずかに動く。 「その呼び方はやめろ」 「無理です」 俺は即答した。 「まだ……全部、残ってるんで」 透が小さく息を吐く。 「……もう俺は先生じゃない」 その言葉で、胸の奥がぐらりと揺れた。 俺は一歩近づき、距離を詰めた。 「知ってます。でも、俺はもう魔導士です」 視線を逸らさない。 「だから……我慢、いらないですよね?」 透の目が細くなる。 「……どうだろうな」 曖昧な返事。 それでも、俺はもう限界だった。 「俺、もう無理です。止められない」 「知ってる」 透は静かに近づき、俺のうなじに指を這わせた。 触れた瞬間―― 「っ……あぁぁ……!」 一年ぶりの熱。 魔力が一気に深く流れ込み、内側をねっとりと掻き回す。 膝がガクガクと震え、腰が抜けそうになる。 「先生……っ、透さん……!」 呼び方を変えた途端、透の魔力がさらに荒々しく沈み込んできた。 「あんっ……! はぁ……っ、んんん……!」 透は俺を抱き寄せ、桜の幹に押し付けるようにしてうなじを貪り始めた。 唇を強く押し当て、吸い付きながら大量の魔力を注ぎ込んでくる。 「一年……よく耐えたな、晴」 「んああぁっ……! 透さん……熱い……奥まで、来てる……っ!」 内側がとろとろに溶かされ、蜜穴のように激しく収縮しながら透の魔力を貪る。 頭の中が真っ白になり、意識が飛びかける。 透の指がうなじを強く揉みしだき、魔力の糸が全身を同時に愛撫し始めた。 「やぁ……っ! あぁんっ! そこ……だめ……気持ちよすぎて……頭、おかしくなる……!」 「ほら、もっと鳴け。俺を欲しがるその淫らな声で」 透の魔力が最奥を執拗に震わせ、俺の精神を容赦なく追い詰めていく。 「あっ……あぁぁっ! 透さん……透さんっ! もう……壊れちゃう……!」 涙が溢れ、涎が口の端から垂れ落ちる。 それでも俺は、喜びに震える声で懇願した。 「嬉しい……っ、壊されるの……こんなに嬉しい……! ずっと我慢してたのに……まだ足りない……もっと、俺をめちゃくちゃにしてください……!」 透の瞳が獣のように暗く燃える。 「本当に……壊れたな」 その言葉が引き金になった。 透は俺を抱き上げ、魔力で体を固定すると、ついに完全に繋がった。 「あああぁっ……! 入ってる……透さんの……奥まで……っ!」 激しく、深く、容赦なく突き上げられる。 魔力の融合が始まり、二人の欲望と執着が激しく絡み合う。 「んぐっ……あんんっ! はぁ……っ、透さん……好き……壊れても、いい……! 俺、透さんの……専用に……っ!」 「そうだ。お前はもう、俺のものだ」 何度も何度も頂点に追い上げられ、俺は泣きながら達し続けた。 意識が飛び、視界が白く染まるたび、壊れていく自分がたまらなく愛おしかった。 「いっちゃう……また、いっちゃう……透さん……っ!」 一年分の焦らしが、すべて俺の体に叩きつけられる。 壊される悦びが、胸の奥を熱く満たしていく。 **** 長い、長い余韻の後。 俺はぐったりと透の胸に崩れ落ち、荒い息を繰り返していた。 まだ体が小刻みに震え、蜜穴が透の熱を貪るように収縮を続けている。 「……透さん」 掠れた声で、俺は呟いた。 「俺……もう、壊れちゃいました……元には、戻れない……」 透は俺のうなじに唇を押し当てたまま、低く答えた。 「ああ。戻らない。お前はこのままでいい」 その言葉に、俺の胸が激しく締め付けられた。 直さない。 治さない。 壊れたまま、受け入れてくれる。 それが、透なりの愛情だと、俺は痛いほど理解した。 「……離れないでください」 初めて口にした、弱い言葉。 透は静かに、しかしはっきりと答えた。 「離れない」 完全じゃない。 どこか欠けたまま。 満たされきらない疼きは、おそらくこれからも続く。 でも、それでいい。 俺は透の胸に顔を埋め、花びらが舞う中、静かに微笑んだ。 「先生……もう俺は、魔導士です」 透は小さく息を吐き、俺の髪を優しく撫でた。 「……生意気な魔導士だ」 桜の花びらが、二人を静かに包み込む。 壊れたまま。 それでも、隣にいる。 俺たちの歪で、熱く、甘い物語は、ここからまた続いていく。

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