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貴方の雪

「あ……雪……」  暗い空から落ちてくる雪を見て、僕は呟く。  寒いのに、上着も着ずにベランダへ出る。  雪は好きだ。  真っ白で綺麗。  冷たくて静か。  不思議と寒さは感じなくて、ベランダの隅に座りこんでただ上を見上げる。  何時間たったか分からない。 「おい!?」  気がつくと貴方が顔を覗かせていた。 「何してんだ、こんな所で」  慌てて駆け寄ってくる。 「ん、雪見てた」  笑って返す。 「見てたって……こんな寒い所で、風邪でも引いたらどうするんだっ!!」  怒ってくる。 「そん時はそん時」  はぁ……、と貴方はため息をつく。 「……夕飯にも来ないから心配して来てみれば……まったく」 「うちの寮って夕飯皆で食べなきゃなんないから、面倒くさいよね……」 「そっちの方がお前の行動が読めていいんだけどな。ほら、こっち来い」  手を引かれて部屋の中へ連れ戻される。 「心配性」 「そう思うんなら、大人しくしといてくれ」 「でも、そういう所、スキ」  ギュウッと抱きつく。 「………本当調子いいなぁお前は……」  言いながら、口元を緩ませる。 「ねぇ、寒い。……温めてよ?」  貴方の手のひらは暖かい。  僕の身体は冷たい雪みたい。  貴方の手のひらに、フワリフワリと舞い堕りて、雪のように溶けていく。  溶けて、貴方のその熱で、また、空へと返る。  そして  また雪になって、大好きな人のもとへ。  フワリ。  フワリ。  舞い堕ちる。  その度、あなたはこの戯れ事を繰り返す。  永遠に。  永遠に――…… 。 ―『貴方の雪』End

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