2 / 5

Sweet Honey

 君は甘いものが好き。  食べ物も。  性格も。  恋愛も。  対する俺は甘いのが苦手。  食べ物も。  性格も。  恋愛も……? 「デートしたい」  日曜日の突然の誘い。 「特大パフェ食べたい」 「…………」 「ねぇ、ダメ?」  まるで子供のようにねだる大きな瞳。  俺はね、甘いものは嫌い。  食べ物も。  性格も。 「……分かった。行こう」  恋愛も?  特大のパフェを目の前に、嬉しそうな君の顔。  座ってつつくのすら困難なそれ。  君との時間を損ねないよう、出そうになるため息を飲み込んだ。 「おいし~っ!」  満足そうな声。  まぁいいか。喜んでるなら……。  君の半分以下のスピードで、パフェを口へ運ぶ。  少しだけ、周りの視線が痛い。  こんなの食べるのは、普通女の子だから。男二人でこんなパフェ、変だよなぁ……。 「ねぇっ!」  ぼーっとしてたら呼ばれた。  いつの間にか、けっこうパフェが減っていた。 「見て見て、いっぱい食べたっ」 「あ、うん……」 「頑張ったんだよ~。早く顔、見えないかなって」  ――え? 「やっと顔見えるようになった」  にっこりと笑う。  子供のような、無垢な笑顔……。 「……そうだな」  俺も笑った。  今までしてた退屈そうな顔、情けなくて、とても見せられたものじゃないから……。  俺はね、甘いものは苦手。  ワガママで、まるで子供のような君に、甘い俺の性格も……。  だけど、どうしても  甘い君の笑顔を。  耳に残るほどの声を。  俺を呼ぶ甘えた声を。  心の底から欲して、止まないんだ。  君にだけは  とことん甘く、弱い。  砂糖より  はちみつより  甘い甘い時を、一緒に過ごしたい。 「……っあ、ベッドの灯り、つけちゃだめ……」 「何で?」 「何でって……恥ずかしいもん」 「可愛い顔見たい」 「いいの、見なくてっ!!」 「やぁだ」  真似して言う。  君の好きな“甘い”笑顔と共に……。  苦手なんだ。  甘いのは。  もう、いらないんだ。  そして、この世に存在しない。  君以上に  甘い  甘いものはね……。 ―『Sweet Honey』End

ともだちにシェアしよう!