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虹のつづき17

 ピポパポピポ。  静かなリビングに、無情にも機械音が響いた。 「……風呂ができたな。まずは風呂だ。七瀬、一緒に入るぞ」 「せっかくいいムードだったのにぃ」 「……弾かないとは言ってない。後でだ。お前も風呂に浸かって体、温めとけよ」 「……わかったよお」  柊一さんは笑いながら、風呂へ向かう。俺も柊一さんを追いかけて風呂に行く。  脱衣所で服を脱ぐと、柊一さんが言う。 「こんなに筋肉あって、強そうだよな、七瀬」 「……筋肉バカだと思ってるんでしょ!」 「そんなこと言ってないだろ。お前の筋肉は惚れ惚れするって話だ」 「……ほ、褒めても何も出ないよ……」  少しだけ顔が熱くなる。  未だに、この人から褒められると照れてしまう。  浴室の扉を開く。  俺は脱衣所にあったタオルを手に取り、浴槽にどぶんと浸かった。 「七瀬、少しはゆっくり入れねえのか?」  柊一さんは笑っている。 「いいでしょ!気持ちよく浸かるにはどういう入り方だって!」  俺は柊一さんに文句を言う。 「……今日は許す。今度から気をつけろよ」  柊一さんは俺の隣に入ってきた。俺は 「わかった」 とだけ返した。 「今日の入浴剤、何?凄いいい匂い」 「スイートカモミール。『バブ ナイトアロマ』のシリーズは結構好きなんだよ」 「そうなんだ~。お湯の色もいい感じでいいね~」 「ゆっくり浸かるにはいいだろ」  俺がちょっと横向くだけで柊一さんの顔がある。  ……近い。  何気に肌と肌が触れ合っている。  柊一さんの家の浴槽は広い。二人で入っても、十分余裕がある。  俺の足元側に入れば、もっとゆったり浸かれるのに。  なのに、柊一さんはわざわざ俺の隣に入ってきた。  ……なんで、こっちなんだよ。  俺の肩が、柊一さんの肩に触れている。  意識すると、それだけでドキドキと胸が高鳴る。  柊一さんは、俺の腕を掴んだ。  それだけなのに、柊一さんの胸の中に包まれたような気がして、心臓が跳ねる。 「七瀬」 「な、なに?」 「何、一人赤くなってる」 「……こ、これは……しょ、しょうがないでしょ~!柊一さんがこっちに座るから!」 「……じゃ、こうしたら?」 「……っ!」  柊一さんは俺の顎を掴む。  俺は静かに目を閉じた。  柊一さんの唇が俺の唇に重なる。  一瞬だけの口づけ。 「……可愛いヤツ」 「……な、何の話?」 「……何を聞かせてやろうかなって、考えてる」 「……とっておきの聞かせてくれるんでしょ?」  柊一さんは顔を近づける。息がかかるぐらいに。 「……ああ、とっておきのやつな」 「う……うん……」  俺はまた赤くなる。  いい加減慣れればいいのに、まだこの距離感に胸がドキッとする。 「七瀬、お前ホント、いい身体してるよな。さすが元サッカー選手、アスリートだよな」  柊一さんは俺の胸あたりを触る。 「もう!元サッカー選手って言ったって現役離れて五年以上だよ。今はジムに行ってるだけ」 「俺もジム行ってるけど、お前ほどは筋肉つかないからな。元サッカー選手は違うんだろ」  柊一さんもジム行ってるんだ。  だから無駄な肉がなくて、均整の取れたきれいな身体つきなんだ。 「柊一さんもベンチプレスとかやる?何キロあがる?」 「……たまにやるぐらいだ。お前、やけに嬉しそうだな」 「え?だって聞きたいじゃん!ちなみに、俺は85キロあがるよ!」 「……俺はそこまであがらない」  柊一さんは少しだけ視線をそらした。  ほんの少し悔しそうに見える。なんだか、かわいいと思ってしまう。 「えー、でも柊一さんもかなりやってそうなのに。この腕とか」 「触るな」 「さっき俺の胸触ったじゃん!おあいこでしょ」  俺が二の腕に手を伸ばすと、柊一さんは「お前な……」とため息をつきながらも、逃げなかった。  触れた腕は、思っていたよりずっと硬くて、あたたかい。 「……ほら、やっぱり鍛えてる」 「たまにって言っただろ」 「たまにでこれはないよ。嘘つき」 「嘘じゃない。……お前に見られてると思うと、ちょっとやる気が出るだけだ」 「え」  思わず手が止まった。  柊一さんは言ってから自分で気づいたのか、耳のあたりがじわっと赤くなる。 「……今の、忘れろ」 「無理!絶対忘れない!」 「七瀬」 「だって嬉しいんだもん。ねえ、今度一緒にジム行こうよ。俺、フォーム見てあげる」 「……教えるって、お前が俺にか」 「元サッカー選手の知識、ちょっとは役に立つでしょ?」  柊一さんはしばらく黙って、それから小さく笑った。  さっきまでの近すぎる距離が、いつの間にかやさしい空気に変わっていた。 「……分かった。ただし、85キロは目指さないからな」 「大丈夫、まずは70から!」 「お前、俺をなめてるだろ」 「なめてないよ。楽しみにしてるだけ」  そう言うと、柊一さんは呆れたように、でもどこか嬉しそうに、俺の頭をくしゃっと撫でた。  その手の大きさに、また胸がドキッとする。  ――やっぱり、まだ全然慣れそうにない。 「柊一さん、俺、そろそろ身体洗う」 「そうだな。俺も洗うか」 「じゃ、洗いっこしようよ~」 「……どこの子供だ、お前は」  そう言いながら、笑ってる柊一さん。  俺は柊一さんと一緒に立ち上がる。 「洗いっこ~洗いっこ~♪」  俺は即興の鼻歌を口ずさむ。ボディスポンジを手に取り、ボディソープをつける。 「柊一さん、洗ってあげる~」 「やめろ、くすぐたったい」 「え、ここくすぐったい?」  俺は柊一さんの脇腹を洗っていた。  柊一さんは笑いながら、俺の脇腹を洗う。 「俺はくすぐったくない。柊一さん、ここ感じちゃうんだ~」  俺がそう言うと、柊一さんは俺の胸元を洗い出す。 「……やだ、柊一さん。洗い方がやらしい」 「……お前が変なこと言うからだ」  柊一さんは、ボディスポンジじゃなく、手でなすりつけてくる。 「ちょ、ちょっと……や、や……」 「感じるんだろ?七瀬。この辺とかな」  柊一さんは、乳首あたりを手で弄る。 「あ、……あ、洗ってよ……目的違ってる……」 「嫌いじゃないだろ、お前」  俺は顔を真っ赤にする。 「洗ってやるよ、気持ちよく……な」 「しゅ……柊一さ…ん……」  柊一さんは手のひらにボディソープをつけて、胸の突起あたりを入念に擦る。 「……や、や……」  俺は、言葉にならない喘ぎにも似た物を発する。 「大事なところも洗っとかないとな」  少しだけ膨らんでいる俺のモノを、柊一さんは掴む。 「……なんだよ、もう反応してるのか。感じやすいな」  柊一さんは、俺のモノを手の中で弄びながら洗う。……洗うと言うにはあまりに卑猥だけど。 「……や……や……あう……」 「気持ちいいだろ?……七瀬」  俺は目をトロンとさせる。俺が握っていたボディスポンジが落ちる。 「七瀬、洗いっこじゃないのか?スポンジ落ちてるぞ」 「……しゅ、柊一さんが変なことするから……」  柊一さんは、更に俺のモノを揉みしだく。 「こういう事か?」 「……う、あ、…あ……い…いあ……」 「可愛いヤツ。……欲しくなるだろ」  その一言に頭は欲に侵される。 「……欲しいなら、抱いてよ……」

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