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SS「副作用とは」
「うわぁ、本当に消えちゃったね」
使用人たちが帰宅し、静まり返った古城の寝室で、ナリは左腕を燭台の灯りに翳しながら、無邪気な声をあげる。
第七王子に対して失礼かもしれないが、その顔は幼い頃から変わらず可愛らしいままで、とにかく愛おしい。
八日目となる今夜。
騎士団長の亡霊・ラユが見えなくなったせいか、ナリは肩の力が抜け、穏やかな雰囲気で夜を迎えている。
身体に力が入っていなければいないほど、副作用が強く出てしまうとも知らずに……。
そもそも、守紋様とは何かと端的に言えば、俺がナリに対して発揮する独占欲に他ならない。
「この男は俺のものだ」
そう強く念じながら、縄張りを主張するかのように蔦の紋様を描いていくのだ。
亡霊にも、他の人間にも渡さないという印。
それが守紋様。
つまりナリにしてみたら、俺の筆先で執拗に愛撫されているようなものなのだ。
そりゃ、副作用として性的な快楽が生まれてしまうのも、当然と言える。
俺は今宵も墨をすりながら、彼の乱れる姿を想像し、昂ってゆく。
ナリは気づいていないだろうが、筆が肌をすべる度に、酷く艶かしい顔をする。
その表情を間近に見ながら、七日目まで耐えた俺を褒めてほしいくらいだ。
「描くよ」
「うん。お願い」
筆先に集中していたって、ナリの口が少し開き、甘い吐息が溢れたのが分かる。
軽く瞼が下りて、視線が定まらなくなって、色っぽい表情になっていく。
首を後ろにそらして、喉がゴクリと鳴った。
挙句「んっ」と喘ぐような艶っぽい声を出し始める。
ナリ……。
俺のもの。
他の奴には絶対に渡さないから。
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