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第1話 急に同棲って言われたんだが、とりあえず抱かれたらいつも通り料理ができた 〜たっぷり野菜とカリ

 店休日の午後、バルドに呼び出され、蓮はバルドバールに来ていた。  店の方にはバルドはおらず、裏口の外階段を目指すと、いつものゴミ捨て場に粗大ゴミが積まれていた。 (バルドの奴なにしてんだ?大掃除の手伝いとかだったらすぐ帰ろう)  蓮は少し覚悟をして外階段を登れば、ちょうどよく二階の玄関が開いた。 「来たか、蓮」  いつものコック服とは違い、ラフな格好のバルドがご機嫌な笑顔で出迎えてくれた。 「あぁ、大掃除でもしてんのか?」 「まぁな、入ってくれ」 「……手伝わないぞ?」 「もう終わった」  ニコニコと返事をしてバルドは蓮を部屋の中に引き入れ、抱きしめた。  大人しくバルドの胸に収まった蓮は逞しい胸板に顔を擦り付ける。 「蓮……」  玄関が閉まり、二人だけの空間となった室内で、バルドの低い声が蓮を呼ぶ。  その溶けそうな声に、蓮はゾクリと反応してバルドの広い背中に手を回した。 「バルド……」  物欲しそうな声を出して、バルドにもたれかかってもバルドは余裕で抱きしめてくれる。  スンスンと首筋を嗅がれ、バルドも興奮しているのかと身体に触れようとしたら離された。 「蓮、見せたいものがある」 「え、今か?とりあえず、ベッド行かねぇ?」 「あぁ、ベッドもあるぞ」 「は?」  ニカッと笑ったバルドは、物置にしていると言っていた部屋に蓮を連れて行き、扉を開けた。  そこは、綺麗に片付けられていて、かなりの広さになっていた。  人間のサイズの、ベッドと棚とテーブルセットも置かれている。 「客間にすんのか?」 「いや、蓮の部屋にする」 「へぇ、好きに使って良いのか?」 「あぁ、もちろんだ」 「じゃあ、ワイン関連の本とかはこっちに運ぶか」  職場に自室が出来るのはありがたい。蓮はワインの資料庫として使おうと考えた。 「荷物、運ぶなら手伝うぞ」 「そうだな。本だけでもかなりあるからな」 「よし、引っ越しはいつにする?」 「は?」  引っ越しという言葉に蓮はハテナを浮かべた。 「いや、引っ越さないけど……」 「え?」  バルドの顔にもハテナが浮かんでいた。 「いや、まて、一緒に住むつもりなのか?」 「えぇっ!?」  蓮は苦笑しながら部屋のテーブルセットに腰掛けた。  そこにバルドが掴み掛ってくる。 「いや、重い……」 「あ、あぁ……悪い……」 「いや、物理的じゃなくて感情もな?」 「なんで……プロポーズ受けてくれたんじゃないのか?」  バルドは床に沈んでいくが、蓮としては身に覚えがない。 「は?プロポーズ?」 「……ずっと一緒に最高のマリアージュを作っていこうって……」 「……言ったな……プロポーズだったのか……」 「蓮だって噛んできた」 「……噛んだな……求愛だったか……」  自分の行いを思い出し、蓮はだんだんと冷や汗をかいてきた。 (やべぇ、随分期待させたみたいだな。でも、急に一緒に住むとか……) 「俺と住むのは嫌か?」 「嫌じゃないけど……嫌だな……」 「え……?」 「あぁ、もう、一回この話は置いておこう。すぐ決めらんねぇよ」 「そんな……」 「なぁ、それより、ベッドあるんだからさ……」  蓮はベッドに移動して、バルドに向かって両手を広げる。 「…………」  バルドは床に両手をついて沈みこんだまま、動かない。 (そんなショック受けるか?仕方ねぇな)  蓮はベッドを降りてバルドの耳元で囁いた。 「バルド、マリアージュ作ろうぜ。俺の中、ぐちゃぐちゃに掻き回してくれよ」  自分で言いながら、バルドの腰使いを思い出して、蓮は身を捩る。  バルドの耳を舐めれば、ビクリと反応するのが可愛い。  もう一度と思ったら、ガバリと身体を持ち上げられて、ベッドにゆっくり沈められた。 「その気になったか?」 「なる……蓮っ……」  ゴクリと喉を鳴らしながら、バルドは蓮のボタンに手をかけた。しかし、相変わらず手は震えている。 「緊張すんな。この間しただろ」 「ふぅ……ふぅ……」  蓮はバルドの手を掴んで、笑いかけてやれば、ぎこちなく笑いながらゆっくりボタンが外されていった。 「あはっ……バルド……あぁん……も……イク……あっ……」 「はぁ……蓮……気持ちいい……んぁっ……」  バルドは、初夜で完璧に蓮のいい所を覚えたのか、突き上げられる度に蓮は快感の波に襲われている。  バルドも絶頂が近いのか、奥へ奥へと腰を埋め込んで眉間にシワを寄せていた。 「蓮っ!」 「ふゃんっ!……あぁぁぁっ」  グチュりと最奥にバルドが入り込んで、蓮の目の前は真っ白になり、絶頂に達した。  自分の腹に白濁が掛かるのを感じたら、中のバルドも震える。 「んんんっ……んぁっ……」  蓮の顔の横に手を付いて、快感に震えるバルドが可愛くて、蓮は頬を撫でてやった。 「気持ち、いいな……」 「あぁ……苦しく無かったか?」 「心配し過ぎだ」  バルドはゆっくりと自身を引き抜いて、白濁のたまったゴムを手慣れた様子で片付けた。 「蓮も拭かないとな」  蓮の中心にそっと指を這わせながら、バルドは愛おしそうな目を蓮に向ける。 「んっ……イったばっか……触るなって……」  くすぐったいようなこの感覚が蓮は苦手なようだ。  身を捩る姿がバルドにはとても愛おしい。  蓮の腹の上に飛び散っていた白濁も、塗り広げるように触れてやれば、たまらず蓮から吐息が漏れる。 「ふっ……はぁ……バルド……それは舐めるなよ」 「ん?」  ピクリとバルドの耳が動いた。興味を持ったのだろう。 「やめろ、絶対!シャワー行ってくる!」 「あっ、蓮……」  蓮はスルッとベッドを抜け出して部屋を出ていった。  バルドは指に残る白い液を見つめピンとなにか閃いた。  シャワーから出てきたら、バルドは部屋に居なかった。  一階から物音がするから、内階段で降りてみれば、バルドは厨房にいた。 「何してんだ?」 「おっ、蓮。良いのが出来そうだ」 「へぇー」  またいつものかと、蓮は丸椅子に座る。  調理台の上には、木の器が置いてあった。  そこには綺麗に切られた野菜と、カリッと焼かれた魔鳥が小さく切られて飾られていた。 「サラダか?」 「あぁ、クロップが祝いだって言って野菜たくさんくれたからな」 「あー、童貞卒業祝いのか」 「それも、今日で二回目だ」  バルドは鼻高々に言ってくる。 (二回目だな、ははっ、おめでとう~)  蓮は自慢気なバルドに貼り付けた笑顔を向け心の中で祝ってやった。 「あと、これだけじゃない」  バルドはボールに魔乳を入れ、ルルカとキッチャ蜜を混ぜ、一気に泡立てた。  カルとルムで味を整えたら、真っ白いそれをサラダにたっぷりとかけた。 「白くてトロトロだろ?」 「…………何がとは聞かないからな」  バルドはニコニコと蓮にフォークを渡してくる。  蓮は頭に浮かんだものから、食べるのを躊躇したが、何も考えなければ普通に美味しそうなサラダだ。  食べてくれと期待するバルドをちらりと見て、蓮は魔乳の白い汁がかかった野菜と魔鳥を口に入れた。  酸っぱさと、まろやかな甘みが野菜の甘みを引き出して、ジューシーな魔鳥の油が絡む。 「うま……魔乳が柔らかい舌触りにしてんのか?」 「だろ?トロトロだ」 「わかったよ……」 「なぁ、コレには何を合わせる?」  ニコニコとご機嫌なバルドが聞いてくる。蓮は少し考えてからワイン蔵に向かった。 「スーハでも良かったけど、コースの最初なら泡が良いだろ」  そう言って、シャルシュのワインを出した。バルドは、ポンと開けられたボトルから、細いグラスに注がれるワインと、蓮の細い手指を見て幸せそうな顔をする。  蓮から渡されたグラスに口をつければ、シュワっと爽やかなのどごしで、口の中がさっぱりとした。 「なるほど、コースの一品もありだな」 「作るか?コース料理」 「蓮も一緒にだ」 「わかってるよ」  そう言って、蓮はバルドにグラスを傾け、二人であわせた。  リンという音が厨房に響く。

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