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なんて驚異的な速さなんだろう。羨ましく思ったが、疲れて授業中に寝てしまい、授業まできちんと参加していなければ意味がない。 「どうしてそこまで走るの?」 「そこに道があるから」 そんなそこに山があるからみたいなノリで。 即答で言われたことに思わず突っ込みたくなった。 「お前、何か部活入ってんの?」 「美術部入ってるけど⋯⋯」 「美術部って、絵を描くのが好きだから入ってるんだろう? それと同じ感じで俺は走るのが好きだから入ってんの。ただそれだけの理由じゃん」 人差し指を立てて宙に円を描いていた青葦が歯を見せて笑った。 心臓が跳ね上がった。 ただ笑っただけなのに。不意を突かれて驚く時とは違う反応。 怖く感じていた目つきも人懐っこい表情を見せられたからか、目を合わせて見ていたいと思っている。なんなんだろう、これは。 「さっきから気になっていたんだけど、持っているそれって何?」 「あ、あ⋯⋯いや、これは⋯⋯」 しどろもどろになりながらもぎゅっと抱きしめる。 こんなの本人に見られたら死刑ものだ。 明日から学校に行けなくなる。 後退る月岡が出た行動は一つ。 「見せられるものじゃないから!」 自分でもびっくりするぐらいの大声を上げ、「えっ、あ」と目を丸くする青葦を残して、教室を後にした。

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