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女子は自分以外に誰もいないことを確認した後、手に持っていた物を見、何かを決心したかのように小さくされど強く頷くと、青葦の机の中に入れた。 何だろうと思ったのも一瞬、それは恐らく手紙らしいものだと分かった。 チクッ。 やっぱり青葦はモテる。最近の授業態度も相まってさらにファンが増えるほどだ。こうして誰もいない教室で想いをしたためた手紙を勇気を出して入れに来るのもおかしな話ではない。 それなのにどうして胸に針が刺さったような痛みを感じたのだろうか。 おかしい。 入れ終わった女子が急ぎ足でこちらに向かうのに気づき、慌ててなるべく壁になるよう努めた。 奇跡的に月岡がいる方とは反対の方へ廊下を駆け出して行った。 気づかれなかったようだ。 そこでようやく緊張の糸が緩んだが、まだ胸のしこりが取れないままだった。 教室から出る際、改めて女子の顔を見たが、朝見た人とはまた違う女子だった。 途中からであったが、盗んでいるようには見えなかったし、純粋に青葦のことを慕っているだけだろう。 悪いことをしてない。それなのにどうしてこうも胸がざわめくのだろう。 分からない疑問を抱え、とぼとぼと帰り道を歩いている時だった。 「あれ、月岡じゃん。こんな時間まで部活動してたのか?」 自分でもびっくりするぐらい肩が上がった。 「うおっ、めっちゃびっくりするじゃん。え、逆に悪ぃ」 「あっ、いやいや大丈夫だよ。ただ考え事をしていて⋯⋯」 「あ、そうか。ならいいんだけど」 わだかまりの要因となった相手とまさか会うとは思わなく、自分でもわけ分からないぐらい過剰な反応をしてしまって恥ずかしい。

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