33 / 33

33.

33. 「⋯⋯僕も、好き⋯⋯」 ほんのりと色づいていた頬が染まっていく青葦のことを見つめながらつられるように言う。 「僕も、青葦君のことをスケッチしていくうちにこの気持ちになっていたんだ。青葦君の太陽みたいな笑顔がとても好きで、見ると嬉しい気持ちになっていて。でも、青葦君、クラスの女子達に好かれていたし、こないだの放課後に青葦君の席に手紙を入れている子を見かけて僕じゃだめだって思っていたから、青葦君から好きなんて言われると思わなかったから、信じられなくて⋯⋯」 「好き、好きだ」 下がっていた顔に両頬を添えるように持ち上げた青葦は言った。 「信じてもらえるように何度も言ってやる。月岡、好きだ」 普段の無邪気に笑う彼とは思えないほどの真面目な顔つきに相反するように真っ赤に染まる頬。 本当に好きなんだと心から思わせる説得力があった。 「月岡、好きだ」 「僕も、僕も好き」 応えるように言った。 「いつも屈託なく向ける笑顔が好き。冗談を言うのに、走っている時は真剣な顔をしているところが好き。青葦君のこと、好きだよ」 照れくささを交えたような笑顔を向ける。 一瞬、びっくりしたように口を開けていた青葦だったが、満面な笑みを見せてくれた。 まだ日が出ている夕暮れ時は二人だけしかいない教室を染め、薄くも影を作る。 二つであった影が一つとなった時、世界から一瞬音がなくなった。 少しずつ音を取り戻していく時に最初に聞こえてきたのは、自身の鼓動だった。 その鼓動がやや速まっているのを耳で感じた時、月岡は頬を緩ませた。 この気持ちに素直になって良かった。

ともだちにシェアしよう!