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エピグラフ(12)

──ミレイユは、はにかみながらアルダスに告げました。 「赤ちゃんが出来ましたの」  アルダスはしばし沈黙していましたが、ようやく微笑みを浮かべると 「そうか……ありがとう」 と優しくミレイユを抱きしめました。けれども、心の中では不安が過っていました。 「私は、彼女と子どもを食べさせていけるだろうか」  テーブルに積み上がった未払いの請求書が、アルダスの視界に入ります。 「私は錬金術師を諦めなければいけないかもしれないな」  アルダスは心の中で揺らいでいました。 『アルダスとダブラー:二人の錬金術師』第11章より

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