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第1話

『18になったな。約束どおり、番になろう』  供米葉太(くまいようた)は深夜0時にはっきりと聞こえた、知らない男の声に驚き目をさます。おそるおそる自室のベッドの上から、常夜灯のみをともした室内を見回すけれど、誰もいない。 (夢?) 枕元に転がるスマホの画面を点灯させると、寝落ち直前まで見ていた動画の終了画面が映る。けれど、そんな恋愛的な要素は全くなかった。 (18になって最初に見た夢がこれかよ)  この前見た漫画にでもあったのかと思いつつ、あくびをした。夢だと割り切った葉太は再び目を閉じた。  横寝の姿勢から仰向けになると、目の前に人の気配がする。 『葉太』 「っ!」  慌てて目を開けると、すぐそこに人の顔が迫っていた。なぜこんなところに知らない人がいるのか、いつの間に侵入したのか。驚きと恐怖で動けないし声も出ない。  葉太に覆いかぶさるように現れた長く白い髪の男性。  さっきはいなかった。一瞬で物音もなく現れたとすると、まさか幽霊なのか。 『覚えていないのか』  幽霊に知り合いなんていないし、今まで一度も幽霊を見たこともない。  すると幽霊は残念そうな顔をして、葉太を見下ろし続けている。 『私は一応龍神で、サカキという。葉太が成人したら番う約束をしていたが』  番うとはたぶん、結婚するということ。幽霊?神様?と、それも男の自分がなぜ?わけがわからない。 『かまわない。約束は約束だ』  連れ去られるかもしれない恐怖に体が震え始めたとき、枕元でラインの受信音がした。緊張の中ちらとそちらへ視線だけ移すと、頬に柔らかな感触を受ける。 「わっ!」  ようやく声が出た。再び男の方を見ると、もう姿はなかった。 (キス?した?まじかよ)  それも実体のない幽霊のくせに、キスの感触が伝わるとはどういうことか。18の誕生日、午前0時ちょうどにした不思議な経験に、葉太は頭を抱えた。

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