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第2話
「ばあちゃん、おはよう」
二階の自室で制服へ着替えをすませ、葉太はバッグを持って階下のダイニングキッチンへ向かう。
「おはよう、葉太。お誕生日おめでとうね」
祖母がごはんをよそいながら、振り返って笑顔で葉太へ声をかける。
ダイニングテーブルにはふたり分の朝食。それと、葉太が高校へ持ってく弁当が置いてある。
両親そろって海外赴任が決まり、高校入学のタイミングで葉太は祖母と一緒に暮らし始めた。もともと母方の祖母と仲がよく、誕生日には必ず泊まりに来ていたので、生活にはすぐ慣れた。
「これ、龍神様にお供えしておいで」
祖母の暮らすこの家には、神棚がふたつある。ひとつは一般的なもので、もうひとつは龍の彫刻が入ったものだ。
誕生日のたびに小さなサイズの御神酒を渡され、葉太の手で龍神を祀る方の神棚へ供えていた。
『私は一応龍神で、』
龍の彫刻を見て昨夜の夢を思い出し、背筋が冷えた。
(夢に出てきた白い長髪の男と関係があったりして)
「どうしたん、葉太?早く朝ごはん食べな、学校遅れるよ」
祖母の様子はいつもと変わらない。差し出された御神酒の瓶を手に取り、龍神の神棚の前へ行く。
「今日、お誕生日ケーキ焼いとくからね」
お祝いしようね、と祖母は嬉しそうだ。確か、冷蔵庫には生クリームやいちごなどが用意してあった。
祖母の焼くスポンジは、優しい甘さでふんわりとしていて、本当においしい。子供のころから葉太は大好きだった。
「18歳になりました。お守りくださってありがとうございます」
毎年のように誕生日の報告をしたあと、祖母から渡された御神酒を供え、キッチンへ戻った。
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