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第1話 合格祝い、もっとください!

「おめでとう!成瀬くん!」 「ありがとうございます」  朝のミーティングで、成瀬の宅健合格が全員に報告され、盛大な拍手で盛り上がった。成瀬ははにかんだ笑顔を全員に向け、これからも頑張りますと決意を伝えた。  成瀬の腕はだいぶ動くようになったが、まだ着替えの際は少し不便なようだ。  そんな腕なので、左腕で受けた試験は、解答欄を間違えたかもしれないと焦っていたが、無事合格できた。 「今日は祝いだな。何が食べたい?」 「やった、じゃあ……」  いつもならバー半月に連れて行かれるが、今日は高瀬の部屋で飲もうと言う。以前出してくれたワインもあるというなら、ピザが食べたいと成瀬は笑った。  その料理名に、高瀬は以前はすれ違って、成し得なかったリベンジを密かに誓った。  専門店のテイクアウトのピザが高瀬の家のダイニングテーブルには並んでいた。 「豪華ですね」  チェーン店のピザとは違ってゴテゴテのトッピングは無いが、綺麗な形で綺麗に焼かれたピザは、とりわけ良い香りがしていた。高瀬にワインを注いでもらって、二人でグラスを合わせる。 「合格おめでとう」 「ありがとうございます。シンさんがしっかりと教えてくれたからです」 「いや、運が良かったんじゃないか?」 「あ、解答欄の間違い……」 「最後に解答欄が余ったからって最初から見直すな。どこがわからなくて飛ばした問題かくらい覚えておけよ」  高瀬は笑いながら成瀬の頭を撫でる。 「ご、ごもっともです……」 「まぁでも合格だ。実際に勉強したことは頭に入っているんだから問題ないだろ」 「はい、それはもう!シンさんのおかげです!」 「なら、明日から全部の業務を一人で出来るな」 「え、もう?」 「不安か?」 「いえ、やります!」  やる気に満ちた成瀬の顔に高瀬はまた微笑んで頭を撫でた。  ピザはやはりほとんどが成瀬の腹に入った。  食後に、高瀬は成瀬をソファーに呼ぶ。  少し緊張した面持ちで、成瀬は高瀬の隣へと座った。 「これ、リベンジですか?」 「嫌か?」  成瀬はブンブンと首を振った。  思いが通じ、そしてすれ違った後も、満月を乗り越えた日も、最後までは出来ていない。  嫌なことなど全くないが、変な緊張を感じて、成瀬は深呼吸をした。 「俺は、もう離れないぞ」 「わかってます。俺だって」  成瀬が右手で高瀬の頬に触れ、ぎこちなく肩を動かす。動きにくいだけだが、高瀬は心配そうにその手を握ってきた。 「まだ、痛むか?」 「いいえ」 「悪かった……」 「これで、ちゃんと分かり合えたんです」  成瀬の言葉に、高瀬はゆっくりと強く成瀬を抱きしめた。怖いくらい幸せな感情が押し寄せてきて、言葉に詰まる。 「……ケン……お前が俺の居場所だ」 「はい……」  成瀬は高瀬を見上げ、ねだるように目を閉じた。ゆっくりと、唇が合わさる。息継ぎに一度離れると、満月では無いのに、高瀬の目は金色に輝いていた。 「シンさん、ベッドに行きたい」  両手を首に回せば、サッと抱き上げられた。その浮遊感が面白かったのか、寝室までの短い距離を成瀬の笑い声が響いた。 「はぁ……はっ……大丈夫か?」 「あ……ぁふっ……はい……」  高瀬は、成瀬にとにかく優しく触れた。  満月でも無いのに、興奮している。  自分を抑えていることが成瀬に伝わるのか、何度も背中を撫でられている。  一度達した後、間髪入れずに成瀬がもっとと言いながら高瀬を抱きしめた。  すぐに高瀬は腰の動きを再開させたかったが、少し迷ったように二つ目のゴムの袋を破くのを躊躇した。  成瀬は高瀬からゴムを奪い取ると、自分から付けにいき、強い目で、もっとくださいとねだった。 「シンさん……もっと……もっとしてください……」 「少し落ち着け。しっかり息をしろ」 「してます。気持ち良いのが止まらないんです。ください……んっ」  ギュッと中を絞められ、耐えるように高瀬は息を詰めた。 「はぁ、ケン……気持ち良い……」 「あぁっ……お……れも……あっ……それ、そこ……だめっ……」 「ここか?」  成瀬が反応した奥にめがけて突いてやれば、グッと背中を反らせて首を振る。 「んっ……もう、出すぞ……」 「……あぅっ……奥に……くださ……」 「んんっ……」 「あぁぁっ…………」  高瀬は、吐精後の脱力感で成瀬の首元に顔を埋める。    成瀬の匂いを感じて、同時に幸福感で満たされた。 「はっ、はっ……シンさん……満足できました?」 「あぁ、連続はキツかっただろ。悪かった」  高瀬は要望とはいえ我慢できなかったと成瀬の頬を撫で、ゆっくりと自身を引き抜いた。  しかし、成瀬は浮かない顔をする。  どこか傷を付けてしまったのかと高瀬は焦り、組み敷く身体を確認した。  成瀬は、普段の色に戻った高瀬の目を見つめ、少し残念そうな顔をするが、自分の要求を口にした。   「……あの……俺……もう少し……したい、です……」 「え……」  モジモジと、足を擦り合わせて、成瀬は汗ばむ身体を寄せてきた。 「だめ、ですか?」  見れば、さっき達したはずの成瀬自身はまだしっかりと形を保っている。  マジか……。  高瀬は自身からゴムを外し、手で扱いてみるが、兆しは無い。 「10分……待ってくれ……」  そう言って、口付けを落としながら、成瀬自身に触れて慰めるように撫でてやった。

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