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第9話 ケツ婚しよう
門くんは寝込んだ。
尻の傷が酷く熱が出たのだ。
僕が尻治療をしようかと言い出したら
「いや……師匠にバレる。そんな直ぐ治ったりしたら疑われる。俺は大丈夫……。少し寝ていたら落ち着く……はず……」
とバタンと寝た。
ヘイズンさんが桶を持ち入ってきた。
「大丈夫か?ユーリは」
「寝ました」
「そうか…。なぁマサト……話しちゃくれねぇか?お前達は何者だ?」
「えっ!?」
「気付かないとでも思っているのか?お前達は何かが俺たちと違うような気がする」
と違和感を伝えてくるヘイズンさんに言うべきか迷う。もし言ってオオジリ教に突き出されたら……。
「………」
「言いたくないか?俺が信用ならねぇか?」
「……そう言うわけじゃ……。でも……僕たちその……とても遠いところから来て……」
するとヘイズンさんは言う。
「夜中にトイレに起きた時……偶然にも見ちまった……。お前が毛布を落として寝ていたから掛けてやろうとしたら……お前さんの尻がピカピカ光っていた……」
うおう……!なんてバレ方だ!!
「……お前……絶対に普通の奴じゃないだろう?」
そうです……。僕も人の尻が光っていたらこいつおかしいと思うもん!!
「うう……あ、あの……僕たちは……」
「皆まで言うな……。お前達……異世界から来たんだろう?オオジリ教はしょっちゅう異世界から人を誘拐してきて力ある者は救世主として祭り上げ力なきものは捨てられたと聞く。
お前達もその類だろ」
と言い当てられた。
「僕たちをオオジリ教に突き出すんですか?」
と言うとヘイズンさんは首を振る。
「いや……俺も……元異世界人だ。生憎お前さん達と同じ世界から来たとは言い難いが……。最初は俺も力がなかったからすぐに捨てられて何年か乞食みたいに生きて……ようやくこの村に腰を据えた。クソ尻と罵られながらも生きていた。
尻を鍛えて何とか生きてきた……。女がいない世界だから結婚はしなかった。もちろん男が妊娠する世界だとは理解しているが……。俺は……やはり胸派なんだ。胸のない奴と恋愛とか結婚とか無理な方だった!!」
そんな!ヘイズンさんも異世界から召喚されてきたなんて!しかも門くんと同じ元クソ尻時代を過ごしていたとは!!
「他にも異世界からの召喚者がいると?」
「ああ……俺が知ってるだけでも何人かはいるみたいだ。だが、皆帰れない。マサトのように力を持った奴の末路を知っているか?」
僕は首を振る。
「力を持った救世主はオオジリ教に一生閉じ込められ病気の者を治療させられるが欲に駆られた教徒に犯され子供を生まされたらその力は消えるとされている」
「ええっ!?」
なんて恐ろしい!!
「産まれた子は力を引き継がないからその時に救世主は役目を終え殺されて次の奴が召喚されるんだ……。オオジリ教ってのはそういうとこさ」
「そんな……!殺されるだなんてい、嫌だ!!」
すると寝ていた門くんが起き上がり……
「今の話は本当!?師匠も異世界人だなんて!!」
「ああ……そうだ。クソ尻と散々言われて辛かったろユーリ……」
「………師匠!!」
と門くんがまた泣いた!!なにこれ?
「つまり……匡人くんが誰かのものになったら力を失うんだ!?」
「そういうことだ……。安全に生きていくことを選ぶならマサトはユーリとケツ婚するしか道はない。マサトが尻の力を失えばオオジリ教も諦めるだろう」
それを聞き、門くんが
「なら、匡人くん!俺と結婚してくれ!!」
と言い出した。僕は
「嫌だよ!どうしてそうなる!僕も女の子の方が好きだ!」
と言うとヘイズンさんは笑い
「くくく、この世界に女はいない!!」
と言う。やはりどこを探してもいないとヘイズンさんは旅人だった頃の事を話した。
そして何人かの異世界人と会っていたがその殆どは結婚して子供と平和に暮らしているそうだ。殺されるのを避ける為らしい。
「そんなぁ……。やっぱりそれしか生き残る道はないのか……」
「いいか?オオジリ教というのはこの世界中に存在するんだ。奴らは力を失った尻を見るまではけして諦めない。地の果てまでも追いかけてくるんだ」
「そ、そんなぁ!」
「だからさっさと力を失うのが一番だな。さっさとケツ婚しちまいな。ユーリ……マサトのことが好きでたまらないんだろう?」
「師匠!?なんでそれを!?」
と慌てるが僕にアツイ視線をよこすこのイケメンの態度に気付かない馬鹿はいない。
「ユーリ……俺は応援するぜ!……マサトには気の毒かもしれんが……。助かる為にユーリの気持ちを受け入れるか他にいい男を探すしかない」
とキッパリ言われ僕は気付く。
生き残るにはオオジリ教で一生働き、そのうちに教徒に犯され妊娠し殺されるか、他に男を見つけ妊娠するかしかないなんて!!
どの道他の男に犯されるしかないだとぉぉぉ!?
僕は門くんを見る。
どっから見てもイケメンだ。痴漢したことは許せんが……。どの道こんな男しかいない世界で元の世界にも帰れず知らない男に犯されてしまう運命ならもう最初から少しでも知り合いの奴の方がマシなんじゃないかと思えた。
そして僕は妥協する事にした。
「………………………………………わかった……。僕……門くんと結婚するよ……」
と渋りながら言うと門くんはベッドの上でガッツポーズを取り、ヘイズンさんは
「おめでとう!良かったな!ユーリ!!……ふふふそうと決まれば俺は少し宿に泊まるか。この家はしばらく好きに使ってくれ。さっさと妊娠するんだマサト!奴等に見つからないうちにな!ユーリ頑張って励めよ?」
とヘイズンさんは言う。
おい待て。結婚て、結婚て……そういうこと!?
俺の悲鳴も虚しく結局僕はヘイズンさんが出て行った後に門くんの尻を治療した後、それからめっちゃくちゃやられた。
時々ヘイズンさんが戻り食料や近辺の報告や新居の手配の様子をしてくれていた。
数ヶ月し僕は吐いたりしてお尻も光らなくなったことから妊娠を知った。
なんてことだ!本当に妊娠してしまった!!僕の身体がどうなるかめちゃくちゃ怖くてヘイズンさんが知り合いの異世界人で僕のような子持ちの奥さん(男)を連れてきて話し相手や説明をしてくれ女でもないのに知識だけ増えていった。
*
ある日大きくなったお腹をさすり編み物をしていた。
門くん……悠里がやってきて真剣な顔をしていた。
「話がある」
と悠里が言う。
「何?」
とキョトンとする僕に悠里がコトンと指輪みたいなのを置いた!!
ギョッとしていると悠里が
「匡人くん……。これからのことなんだけどさ……。俺父親として頑張るから子供を育てるから……。匡人くんが俺を捨ててこれからの人生別の男と暮らしても俺は文句言わないから……。でも指輪は受け取ってほしくて……」
と泣き出した。
「はあ!?何で僕が子供産んで悠里を捨てて他の男と生きる事になってるんだ!?お前ふざけんなよ」
すると悠里は
「だって!!俺と子供さえ作れば力が消えたからもう匡人くんは自由じゃないか!!俺はいつか匡人くんにいつか捨てられると思ってたから……」
とシュンとする。
僕はため息をつく。
「あのさぁ、悠里。この子は悠里の子なのに何で僕が出ていくと思うんだ?一緒に育てるに決まってんだろ?僕と悠里はもう家族なんだよ?」
と言うと悠里が鼻水垂らして
「ほっ、ほんとにっっ!?」
と言う。イケメンが台無し。
「……ああ。僕は出ていかないし、いい母親……父親?になるからさ……。そう言えばベッドでしか言っていなかったから不安だったのかな?僕は悠里のこと好きだよ」
と言うと悠里が真っ赤になり獣みたいに鼻息荒くしだし飛びついて来たから渾身の一撃で拳で腹を殴った。
「グハァ!!!」
と悠里が床にのたうち回った。
「てめえ……!調子に乗ってんじゃねえよ!腹の子供に何かあったらどうする!?妊婦舐めんじゃねえぞ!!抱き潰しちまったら恨むぞ」
と睨むとごめんなさいと正座して謝った。
「……しかし……産まれてくる子ももう男だってわかってるもんな。一体どうなってんだこの世界は」
とため息をついた。
例のオオジリ教はずっと前にこの家を突き止めてやってきたが俺が既に妊娠した後だったので俺の光らない尻を残念そうに見つめて
「次のしかないか……妊婦は殺せない」
とボヤいていた。
悠里がそいつの事を殴りそうになるのをヘイズンさんが止めた。
「ユーリ落ち着け!オオジリ教なんかに手を出すな!捕まってまた酷い目に遭うだけだ!」
「ちっ!そいつの言う通りだ!命拾いしたな!クソ尻!!ふん、新しい救世主様を呼ばなければならない!お前らは勝手に生きろ!」
と去って行ったのだ。
新しい救世主様……。また新たな被害者がこの変な世界に飛ばされる。
それは悩ましい事だが僕達異世界人たちにはどうしようもない事だった。
この変な世界で生きていくことしかできない。
僕は泣きそうになる。
「あーあ、女の子に会いたいなぁ……」
すると悠里がボソリと言う。
「そんなに女の子に会いたい?ちょっと俺女物の服でも作って胸に詰め物してカツラも作ってみようかな?」
と言い出した。
「いや……いいよ」
普通に気持ち悪い。いやイケメンが女装するんだからもしかしたらということもあるが普通に嫌だ。
「え?何で?」
「お前……元痴漢の上にこれ以上変態にならないでくれ!!頼むから!!」
と言い、僕はお腹をさすった。
しばらくして僕は子供を産み落とした。
ものすごい衝撃と痛みで死にそうになったが何とか生きてるし女の人の気持ちが分かり同時に感動して泣いたのだった。
助産師の人に
「良いお尻から産まれた元気な男の子ですよ!!」
と言われ少しげんなりしたが顔を見たら可愛くて涙がまた出てきた。
悠里はオオジリ教に召喚されたけど失敗したクソ尻保護活動をこっそりヘイズンさんと始めたりした。僕達が召喚された以降、救世主は中々現れないらしく、クソ尻と呼ばれる子ばかりがいろんな世界から召喚されてくるのだ。
今では施設も立ち上げられ、ヘイズンさんは院長先生にまでなり、オオジリ教と対立する組織もでき始めたから人生わからない。
月日が経ち、二人目を妊娠した僕の傍で可愛い灯が眠っている。アカリと名付けた。
ヤバイと思ったが名前だけは女の子のをつけたいとの僕の我儘に悠里が付き合ってくれた。
ごめん、アカリ……実は女の子の名前だなんて一生言わないから!!
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