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第13話
──シャッ。
見るからに薄い間仕切りカーテンを閉め、乱れたベッドの上に袋から取り出した服を置く。
黄ばんだベッドシーツ。男の体臭と汗などの悪臭が混じったタオルケットとパジャマ。丸められたティッシュ。
横付けされたベッドの上部には、カーテンのない磨りガラスの小さな窓。振り返ってもう一度間仕切りカーテンを見るものの、気配を感じるだけで向こう側の様子までは解らない。
「……」
……なんか、嫌だな。
せめて、脱衣所だったらよかった……かな。
警戒しながら辺りを見回し、不審なものがないか確認する。もし小型カメラが何処かに仕込まれていたとしても、探し出すだけの時間も労力もないのだけれど。
腕を胸の前で交差させて裾を掴み、一気に捲り上げる。脱いだ服と入れ替わりにコスプレ衣装を拾い上げれば、それは大胆に肌が露出するデザインで。低木に座らされていたぬいのような、いたって健全なメイド服とは随分とかけ離れていた。
「……」
着替え終わり、ゆっくりとカーテンを開ける。
と、キララのぬいを腕に挟みカメラを両手で構えていた男の目が、大きく見開かれた。
「……いい……」
キラキラと輝く小さな黒眼。
ポロッ、と腕から落ちるぬい。足先の神経が麻痺してしまったのだろうか。半歩近付いたその足が、キララの頭を踏み潰す。
「やっぱり、思っていた通りだ」
まるでビキニのような形のトップス。ショート丈の半袖ジャケット。ふわりと裾の広がったレース状のミニスカート。
胸元を隠す布面積が頼りないほど小さく、女装以上の羞恥と危機感が跳ね上がる。
「……いや、それ以上だよ」
ニチャッ……
露出した柔肌を刺すような、厭らしい視線。口元を大きく歪め、自身の上唇を舐める。
「……」
嫌悪感が募り、開けたジャケットの前を合わせながら半歩下がる。と、ねっとりとした男の視線が、僕の胸元から顔へゆっくりと移る。
「キララ」
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……
紅潮した顔。荒々しい息遣い。
かなり興奮しているんだろう。贅肉で厚くなった肩を大きく揺らし、凝視する眼が血走っている。
「……あぁ、ボクのキララ!」
トンッ、
闘牛の如く迫る巨体。
太くて大きな手に突き飛ばされ、軽々ベッドに倒される。仰向けの身体が弾むと同時に頭が大きく揺さぶられ、一瞬、脳内に鈍い衝撃と真っ白の世界に包まれる。
「キララ、会いたかったよ。会いたかった、会いたかった……!」
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