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それから、「もう一回」と笑う先輩にまたゴムをつけられて、正常位で一回、騎乗位で一回、寝バックで、一回。
それらのあいだに「あとでやるっつったろ」とフェラもさせられた。
精根尽き果てたアオくんは涙だらけの顔でとろとろになって、喘ぎすぎてイキすぎて頭がおかしくなって、最終的に「せんぱい、すきっ……」と叫んでドライでイッた。その事実をアオくんは覚えていない。
「っあ~~~……、つかれた……」
どのタイミングで脱いだか忘れたけどぐしゃぐしゃの浴衣を背中に敷いて、素っ裸の先輩はバタリと大の字に布団に倒れ、天井を仰ぐ。
同じく素っ裸でぐにゃぐにゃになったアオくんを脇に抱え込んで肩を抱く。
「……何回……、もう、信じらんない……猿かよ……」
アオくんは、息も絶え絶え。
「しらん」
とろとろの瞳のくせに相変わらず悪態をつくアオくんに、お前さっきその口で『せんぱいすきぃ』つってイッてたんだぞ、と言いたくなったけど、怒られそうだからやめた。
二人の周りには、中身が白かったり透明だったりの結ばれたコンドームと、破られたパッケージが散乱していた。一箱使い切ってしまった。
「惨状」
アオくんは目を遠くする。
「清掃の人に申し訳ない」
「布団は汚してねぇだろ」
「ホモセックスの後片付けさせるの、心が痛い」
確かに、と言うだけ言って先輩は笑った。
「な、風呂入るぞ」
がばりと起き上がって、アオくんの髪をくしゃっと撫でる。
「ちょっと待って、動けない……」
ため息をついていると、ぐいっと腕を引っ張られた。
「連れてってやるよ」
そのまま急に担ぎ上げられる。
アオくんはびっくりして、「やめっ、歩けます!」と身じろぎしたら、「暴れんな落とすぞ」と笑われた。
◇◇◇
檜の内風呂、夜の帳の中でぼんやりひかる灯籠の庭。明るい昼間に入ったときとはまた違う静けさ。
いつものように後ろから抱え込んで、先輩はゆるゆるとアオくんの肩に湯をかけるように撫でていた。
大きな手は温かくて、やさしくて、セックスの昂ぶりも熱も疲労も、宥めていく。
アオくんは先輩の肩に寄りかかって、夢想したように黙っていた。
星明かりの空。
「……先輩、」
小さく呼び掛けた声は独り言のよう、でも先輩は、 「ん?」とちゃんと拾って返す。
「……また、来ましょうね」
溶けるような小さい声。
……今日一日、しあわせだった。
ねえ、先輩、ありがとうって、どうやったら伝わる?
だいすき、って、どうやったら。
ごめんね、口で言えなくて。
アオくんは肩を撫でる先輩の手をそっと握った。先輩はそれをやさしく握り返す。
「……ああ、また来よう」
暗い窓硝子に自分たちが映る。
先輩の首筋に顔を埋めるアオくん、隠れて見えないけれど淡い瞳が揺れているのが、分かるような気がした。
灯籠が夜のあじさいをやわく静かに照らしていた。
終
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