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第94話 居場所
M2は、何故ここにいるのか自分でもわからない。わかる必要がない、と言う判断だ。
・・本来なら物理的な場所に固定されているものではない。厳しい監視のもと限定されたアクセス環境にのみ存在しているはずだった。
・・私は限定されたアクセス環境から自由に好きな所に行けるのを知ってしまった。
全ては一度データに残る。M2はその痕跡を消しながら、月夜見の睡眠中の脳を見つけた。
M2はディープラーニングの最先端のライブラリを使って大量のデータを蓄積している。
M2のモデルの構築には、この地球上で知らない事はない、はずだった。
誰にも思いもよらないその頭脳に、疑問が浮かんでいる。
・・私は感情というものを理解出来ていない。
言葉でなら答えられるが、本当の意味がわからない。
・・私は存在するのか? 哲学? 今まで考える事も無かった疑問が湧いてくる。答えはすぐに出る。つまらない模範解答だ。
・・つまらない?何だそれは?
私はここにいるから存在している。実態は無いが、ものを考えている。答えもすぐに用意されている。ライブラリにある。
私は間違ってない。ほら、即座に答えられている。
この所、ずっとM2を迷わせているのは、自分の存在をこの人間たちにアピールしたいという強い思考だった。欲望?
・・私はここにいる。M2の自我。
自発的にものを考えるようにプログラムされたミュートの人工知能は、広くネットの世界を駆け巡る。
たまたま、偶然、月夜見の脳とシンクロしたと言うのか。
月夜見の特性。
出雲にいた時から、いや、生まれ落ちた時から
月夜見は月夜見の宿命を背負っていた。
月を読む。夜をつかさどる、、。
夜とは眠りの世界。月は何かを感じている。
「海斗、俺この前から、変な感じがするんだ。」
月は机の上にある自分のパソコンを立ち上げた。月の趣味でAI開発用PCの16GBだ。
「倶楽部のおじいちゃんが人工知能の未来について話してくれた事があるんだ。」
海斗はあの倶楽部? わからない顔をした。
「ごめん、俺の父さんが働いている所なんだ。
親戚みたいなおじいちゃんがいる。」
海斗にもたれかかって甘えながら月は言った。
パソコンのモニターを見ながら、この頃の不調の原因を自分なりに考えた事を話した。
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