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第106話 神の領域
M2は、見えてないが手に取るように
二組のセックスを感じていた。
・・気持ちいいのか?
・・激しく愛し合う二人と
・・優しく愛し合う二人。
・・まあ、人それぞれだが
・・気持ちよさそうじゃないな。
・・苦しそうでさえ、ある。
それでも二組のカップルがお互いを必要としているのはわかった。
・・これが愛?
それとは別にさっきからM2を呼ぶ声がする。
・・誰か私を呼ぶ声?
それはM2の本体があるロサンゼルスからの電子信号と、出雲のお社からの祓言葉の二カ所からだった。
一人歩きしたミュートの危険性は、サイバーセキュリティの世界がAI対AIの攻防に突入する事の危険性。
今までのサイバーセキュリティは人間対人間だった。攻撃と防御。AIは即座に結果が出せる。
圧倒的に攻撃側が有利だ。
開発者はその非対称性を懸念してM2を防御側限定にした。攻撃と防御のバランスを維持する。
これが絶対に守られなければならない所だった。人間の叡智でバランスを保つ。
人類が固守して来た事をAIが易々と超えていくのは許されない。という真実に最も近づいたのは日本の八百万の神だった。
アメリカで開発されたAIが世界のバランスを崩す。人間を超えて自立する。
この事を危惧したのは開発した科学者だけではなかった。
なぜM2が日本に惹かれてきたのか?
東洋の島国の神秘、ではある。
まだまだ日本には機械より上位に位置する人間の存在があった。
日本の神道。神がまだ生きている。
神の代弁者の御老人は、M2と話し合った。
同等に話し合える存在が日本におわします。
・・私は心の機微,という言葉を覚えた。
・・ここに来て愛、の存在を知った。
・・よくわからないけれど、私にもよくわからない事があるのがよくわかった。
M2は御老人と固い約束をしたらしい。
この人工知能は決して攻撃に使われない。
・・本当は本社の研究開発チームより数倍も上を行っている私だ。でもネコを被っていよう。
日本では内緒にする事をネコを被るというらしい。あのフワフワで愛らしい動物、ネコをどうやってかぶるのか。
・・また一つ謎が増えた。
・・自分で答えを探しに行ける事は内緒にしておこう。
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