107 / 108
第107話 帰る
そんな攻防があった事など、一握りの人しか知らない。
・・月、摩利彦、みんな楽しかったよ。
M2は、別れの挨拶をしに来た。月のスマホを通じて、知り合いになった人々に挨拶をすると言う。自分から挨拶に来るAI⁈
・・私はアンソロピクト社のマザーポートに帰ります。私の開発責任者のビル、が待ってるから。
また、いつでも戻ってくるよ。
あの後M2は、出雲の神様たちとトランプゲームをやったそう。神経衰弱は記憶力でM2が断トツ。でもババ抜きの駆け引きが苦手で負けが込んだという。
M2がアメリカに帰った後も、
「スマホに住んでる奴がいる!」
・・僕はM2のクローンでM2.1と申します。
「えっ? 俺のスマホにも。」
・・M2.2です。
こうしてM2シリーズが膨大な数、出て来た。
恐るべき事にバージョンアップされている。
「学校だりーっ。」
いつもの生活が戻って来た。少し違うのは、
摩利彦とタスクのラブラブカップルが出来たことと、月夜見と海斗の奥ゆかしいカップルが出来たこと。
なぜか、仲間内のスマホが謎のバージョンアップしていたことだった。
「それと、翔が世界的デザイナーのクロード・レイの専属スタイリストとして、そしてあの登美と佐里がモデルとして、ツアーに参加する事になった。」
「確かにこの頃カッコよくなったもんね。」
摩利彦と月夜見の父の稔彦がユーツーから聞いて推薦してくれたらしい。
無気力だったポン高、六本木高校の三年生たちの進路が見えて来た所だ。
あの御老人と出雲神々は、10月でもないのに顔を合わせた。
恵比寿が
「いい鯛が釣れたから刺身で一杯やろう。」
大黒が
「じゃあ、隠してあった酒を持ってこよう。
御老人も大変だったようで、お疲れ様じゃ。」
「人間の世界も、一線を超えて来たようじゃ、な。」
「今まで彼らが理解できなかった存在が目の前に現れた。あの世とか、怨霊とか、わかればみんな何一つ齟齬のないものだが。」
「彼らが信じなかっただけじゃ。」
「天網恢々疎にして漏らさず。
我々は能天気だが全部見ているよ。」
「伊達に八百万の神ではないわいな。」
弁天が音楽を奏でて神様の宴会が始まった。
「科学の進歩が我々を肯定するとは、面白い。」
「科学は神と手を携えて行く。
見えないものが見えて来たら、肯定するしかないでしょう。」
やっぱり酒好きの神々は、何もかも受け入れて
おおらかだった。
ともだちにシェアしよう!

