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番外編 絶倫の聖騎士はまてができない駄犬である

 まだ真っ昼間だというのに、ライオネルは乗ってきた馬を降りるとすぐさまオレを抱き上げていつもの客間に運んだ。  数週間ぶりのライオネルの屋敷だったが、玄関で出迎えてくれたバージルに声をかける暇もない。   「オイ?……ライオネル、なん、……っ!」  制止など聞きはしないし、あきれ顔のバージルは何か察したのかメイドたちを下がらせていた。そしてしずしずと客間の扉を閉める。  おい、まて。止めてくれお前の主を。 「ああネロ……やっと帰してもらえた」  熱っぽくそう囁いたライオネルは、部屋に入るなり足早にベッドに近づき、オレをそこに降ろした。止める間もなく覆い被さってきて、ちゅっと軽く唇が触れる。  唇から額、鼻先、頬、こめかみへと口付けは移動していった。あたたかく大きな手に頬を包まれ、熱烈な口付けが顔中に落ちてくる。 「落ち着け!……オイ、待っ……!」  「ネロ、もう待てない」  ライオネルの声は、逆らいがたい熱をもっていた。  服越しに身体が重なると、久しぶりのぬくもりを感じる。服を乱されて直接肌が擦れたら、たまらない気持ちになった。  こんな少しの触れあいだけでライオネルに愛された記憶が蘇り、オレの身体は欲に疼く。 「……どれだけ焦がれたことか」  見上げた先のギラギラとした瞳は欲に濡れていて、背にぞくりと震えが走った。  オレだってお預け食らってたのは確かだけど。欲しいのも、それはそうだけどさ。そんな素直に求める言葉なんかオレの口から出てくるものか。  言葉に詰まったオレは、無言でライオネルのシャツをギュッと握り締めるしかなかった。       ‡  オレが闇魔法の資料を閲覧するため皇宮に部屋を借りてから、二週間が経っていた。  その間、ライオネルはゼファーからの言いつけでオレとの接触禁止を言い渡されていたので……結構長い間、オレたちは引き離されていたんだ。  それが今日やっと一段落してライオネルの屋敷に帰ってきた。  身分証があるから次からは通いでってことになって、皇帝陛下はずいぶん残念そうだったがオレは助かった。元奴隷の平民に皇宮は居づらいんだって。  約束の時間に、ライオネルは嬉々として迎えにやって来た。馬車に乗せる時間も惜しいと思ったのか、まさかの馬で。  ライオネルの愛馬は、国でも一二を争う名馬として知られているらしい。  足がとても速いってことだ。  そんな馬に乗せられ、馬車の半分以下の時間で屋敷についた頃には、オレの足が生まれたての子鹿のようにガクガクになっていた。  なんならちょっと酔ったんだよ。暗殺者の逃走用の馬でもあんな走り方しないんだが!? 「なぁ、ライオネル、えっと、……風呂とか、は」 「このままがいい」 「えっ、なんで……」 「ネロの匂いが薄れる」  オレの首筋に顔を埋めたライオネルは、スンスンと息を吸って顔を擦りつけてきた。  いや、匂いって。そんな仕草が本物の犬のようで笑えるんだが。  平民のオレには頻繁に風呂に入る習慣はないが、皇宮では風呂が入り放題だった。好きなときに入浴ができていたせいか、今度は些細な汚れが気になるようになってしまった。  特に、これから裸になってライオネルとそういうことをするとなると……  とか思っていたら――ゴリッ、と硬いモノを押しつけられる感触があった。 「う、……」  ライオネルのご立派な一物が、臨戦態勢でオレの股間に押しつけられている。  そいつはデカくて長さもあるから存在感が普通じゃなかった。無視できない熱をぐいぐい押しつけられているとオレまでダメになりそうだ。  腰を抱かれたまま下半身を押しつけてくるから熱が擦れ合って、心地好くなってくる。でも同時にめちゃくちゃ恥ずかしいんだが、ライオネルはそういう羞恥心がどっか壊れてるんだよな。恥ずかしがってるオレが変みたいじゃないか。 「ネロ。すぐに入れたりしないから」 「あ、あたり前だろ! 死ぬわ!」 「……うん。だから、せめて口でしていい?」  舐めたい、と耳元で甘えるように言われた。  同時にライオネルのキレイな顔が迫ってきて、気圧されたオレはよく考えもせずガクガクと頷いてしまった。  ――それからしばらくして……オレは安易に了承したのを後悔していた。 「あっ、や、ぁっ、あっ、も、やだぁっ」  嘘つき、詐欺師、顔だけ野郎、鬼畜変態、頭の中で思いつく限りの罵倒を口にしたはずなのにライオネルはとろとろに甘い瞳で見つめてくる。   「ネロ、……ネロ、かわいい」  長い指がアナルを広げグリグリと感じる場所を押し上げる。それと同時にライオネルの口の中に咥えられていた性器が白濁を吹き上げた。  もう何度目か分からない射精は色が薄く、量も少ない。その液体をとろとろと指に落とし、またライオネルはオレの穴をこね回し始めた。  入口がふやけてんじゃないかってくらい、そこを念入りに解されている。舐める、という行為を性器にだけじゃなくアナルにまで許した覚えはないんだが。  先ほど、ライオネルはこちらが頷くのを見るや、オレの太腿を高く抱え上げて穴を晒し、そこにむしゃぶりついた。  ばか、はなせ、やめろ、と足で蹴っても押してもびくともしない。ライオネルはオレの身体が快楽に蕩けて絶頂するまでアナルを舐め続けた。  それから始まったのは、アナルを弄りながらの性感帯愛撫だった。  オレの身体中の弱いところを順に弄られ、その快感とアナルの快感を連動させてくる。耳朶を甘噛みされ、首筋に舌を這わされ、乳首も執拗に弄られた。臍を舌で擽られた時にはビクビク震えてイッてしまったので、またそこがふやけるまで舐められた。 「ンッ、ぁ、ひ、……や、あっ、うそつ、きぃっ……はな、せっ」 「舐めてるだけから、嘘じゃない」 「そん、な、するって、……い、わなかっ、た、だろっ」 「ネロが聞いたら答えていたよ。……ココも、もう少しかな」 「ヒッ……ぁ、アァァッ!」     中に挿入されてた指を揺らされると濡れた音が立った。速度をつけて擦られると腰がガクガク震えてしまう。  視界がぼやっと歪み始め、オレは鼻をすすりあげた。 「ネロは……気持ち良いといつも泣いてる。かわいい」 「う、るさぃっ」 「可愛い。ネロ、すごく可愛いよ。ここもぎゅうぎゅう締め付けてきて、引き抜こうとすると食い付いてくる。……ね、いかないでって、ネロの中が言ってるよ」  唾液とオレの精液でぐちゃぐちゃにされたアナルはライオネルの指に懐いて、とっくに陥落していた。赤ん坊みたいに吸い付いて、自身を犯す指に媚びを売っている。  もっと激しく出し入れして、イイとこ突いて、たくさん撫でてほしい。  まるでそうねだってるかのようにライオネルの指を締め付けていた。 「言って、な、ァッ…………――アッ、ァァ!!」  ずぷ、とライオネルの一物が指に沿うようにして入ってきた。指で広げた入口に亀頭がめり込み、ぐうっと内壁を押し上げる。ゾクゾクと背を走る快感に飲まれ、目の前に眩い光が明滅する感じがした。 「は、ァッ……あ、っ……ぁ、あっ……」 「上手に飲み込んでるよ、ネロ」 「ぐ、ぅ……ァ、ンッ!」 「はは、いま中がビクッてしたね。きもちいい?」  宥めるみたいに声をかけられて、受け入れてる腰を撫でられた。それだけで中がきゅうきゅう締まってライオネルの形を認識する。  ……教え、込まれる。オレを犯すこれがライオネルだって。  この熱がライオネルの欲望で、執着で、愛情で偏愛で盲目な愛なんだと教え込んでくる。 「――~~~~ッ!」  ズンッ、と奥まで突かれて声にならない悲鳴を上げ、オレは背を逸らした。  シーツから少し浮いた身体を掬い上げられ、ライオネルの膝に乗せられる。下から突き上げるように揺らされゴリゴリと奥に亀頭がねじ込まれていった。  ぱちん、と尻にライオネルの肌が触れた。  ――あ、ぜんぶ入った。  大きさの問題で、初めてのときはおそらく半分くらいしか収まっていなかったはずだ。それを少し悔しく思っていたら、ライオネルにも伝わっていたらしい。  今日は念入りに解されたと思ったら、巨大な一物は根元まで入っていた。腹がパンパンになるほどみっちり埋められている。  錯覚かもしれないが、オレの貧相で平たい腹が膨れているような感じがした。   「ラ、イオネル……」 「うん?」 「はい、った……?」 「うん。全部入ったよ。ネロ、こんな細い腰に全部受け入れてくれるなんて。……ありがとう、幸せだ」 「……う、……」 「ネロ?」  オレは腕を持ち上げ、臍の上を手のひらで撫でた。そこに収まってるのがわかると後ろを締め付けてしまって、むず痒いような快感がわき上がる。  はぁ、と熱っぽい息を吐いてオレはライオネルを見上げた。  頭の中が与えられた快感と熱でいっぱいで、ぐずぐずに蕩けていきそうだ。 「オレも……ライオネルで、いっぱいで……きもちい、……しあわせ」 「――ネロ!」  ぐん、とまたライオネルの熱が大きくなった。  まさかまだ膨らむのか、こいつどこまで育つんだ?  サアッと血の気を失ったオレの身体を引き上げて、ライオネルは抜き差しを始めた。  大きな両手に尻を包まれ、上下に揺らされる。ライオネルは腕の力だけで軽々とオレを持ち上げながら腰を突き上げてくるから、激しく濡れた音が響いた。 「ぁ、……っふ、……ぅっ……」  ドプッと中に吐き出されたと思った途端、シーツに降ろされうつ伏せになった。オレのほうはもう何度イッたかもわからない。  ……降ろされた時点でライオネルのモノが抜けてなかったから、変だとは思ったんだ。  だけど中出しされた余韻でぼうっとしていたら後ろから太腿を掴まれた。 「ッひ、……あぁっ……」  うつ伏せで足を開いたまま、太腿を引き寄せられライオネルの膝に乗せられる。ずぷっ、と再び繋がりが深くなって小刻みに揺らされた。  オレの足がちゃんと立って四つん這いになれたらよかったが、膝なんかガクガクだ。だからこんな体位にならざるを得なかったんだろうけど、な。 「ふ、かっ……あっ……ラ、イオネルッ……くる、しっ」 「これで深い? 横向きで交差したほうが深くなるらしいと聞いたんだが、比べてみようか。……こうして、ネロの足を跨いで……」  ライオネルはオレの身体をぐるんと半回転させて、横向きに寝かせた。上になった足を曲げさせ、下の足を跨いで再び突き上げてくる。 「ああ、本当だこのほうが深い」 「~~~ッ!!」 「すごい、締め付けてくるッ……ネロ、イッたの?」 「ヤ、だめ――ッ、これ、だめ、なとこ……ぁっ……ヒッ……~~ッ!」  ガクガクと震えて立て続けに絶頂する。  それを見つめていたアイスブルーと紫の瞳が、きらっと輝いた。曲げてたオレの片足を肩に担ぎ上げたライオネルは、にっこりと満面の笑みをオレに向ける。  そして次の瞬間、笑みとは裏腹に荒っぽく腰を打ち付けてきた。激しく早い律動に翻弄されて視界がブレる。   「あっ、ヒッ、あっ、や、めッ……」 「こっちの、ほうが……深いね、ネロ?」  同意を求めるようにゴリッ、ゴリッと奥を突かれて……目の前に白くぱちぱちと火花が散ったような気がした。  嬌声も唾液も垂らしっぱなしの口からは無意識に言葉が漏れる。 「あうっ、ふ、かいっ……」 「うん、こんなに近付けて嬉しい。……ネロもきもちいい?」 「きっ、もち、いいっ……アッ……あうっ」 「そうか、よかった。ならもう少し」  奥の奥まで侵入してきたライオネルは、そのまま結腸の入口をゆっくりと押し開きはじめた。 「――ッ! ――ッ!!」  最初はゆっくり出入りしていたのを、次第に早く、太い亀頭をめり込ませるようにしてくる。  抵抗する意志よりも、ゾクゾクと背が震える。からっぽな頭にライオネルが強引に押し入ってきた。気持ち良い、ってことしかわからなくなっていく。  こうしてすぐダメにされてしまうんだ。ライオネルに、頭の中が塗りつぶされて思考もなにも奪われていった。口を開けば甘ったるい声しか出ない。 「ネロ、……ネロ、かわいい」 「……ん、……ぁ、……」 「潮も吹いて、射精しないままイッたの? とろとろで可愛いよネロ。ほら、私の魔力が混ざってとても美しい色になってる。……見て」  目の錯覚だったのか、ライオネルが指で梳いたオレの黒髪は、煌めく銀が混ざり込んでいるように見えた。  性交で魔力が混じるとか聞いたことがないんだが……。    でもそれからまた再開した律動で、その思考は完全に吹っ飛んだ。  ――真っ昼間からぶっ通しで夜中まで、だ。  絶倫が過ぎるだろうが。限度があるだろう、いや『限度』って言葉をそもそもお前知ってるか?  当然オレは数日寝込むことになったが、ライオネルはかいがいしく世話をしてオレの側からずっと離れなかった。 【完】

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