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【1】真夜中は■■■の時間-01

 來摩宵央(くるまよなか)は夜が怖い。  とりわけ、『真夜中』と呼ばれる時間帯は最悪だ。 「わ。こんばんわー、ふふ、ハジメマシテー『チリ』っす」 「あ、はい……あの――マヨ、です。今日はよろしくお願いします」 「いやぁこちらこそ。お付き合い感謝です、ドウゾヨロシク」  へらりと笑う、その男の顔を見た時、宵央は少々不器用な間を取った。  簡単に言えば彼の顔に見惚れていたのだが、この衝撃的な出会いをうまく言葉で表せず、結局無様に動揺しただけだ。一息飲み込み腹に力を入れる、その程度で感情を抑えただけでも褒めてほしい、そう思う。  來摩宵央は夜が怖い。真夜中が怖い。昼間の燦々と照り付ける太陽の明りも怖い。その下で行きかう人間の群れも怖い。腹の中と言葉がちぐはぐな人間自体も怖くてならない。  それなのにこの時宵央は、すべての恐怖を忘れてしまった。  目の前に立つのは、へらりと笑い、からりと乾いた言葉を投げる、洒落た外見の男だ。  この時から宵央の『怖いものリスト』に、新しい項目が追加された。  それは『ヒトメボレ』という、自分には一生関わりないだろうと思っていた単語だった。

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