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[終] ある夜の二人(2/2)*

「ぁ、ぁ、ぁ……ッ、ッ……!」  イキそうだと伝えるはずの言葉は言葉になりきれなかったはずなのに、ギルはわかったとばかりに、力強く俺の奥を叩いた。  途端、目の前にバチバチと激しい光が舞って、頭が真っ白になる。 「ンンンンンンンンンッッッ!!」  腹の奥がぎゅうぎゅうと勝手にギルを締め付ける。  快感の渦に呑まれて、俺の手足が翻弄されるように跳ね踊る。  ギルは締め続ける俺の奥を数度叩いて、俺に覆い被さると余裕のない声で言った。 「ゼス、ゼス……、私の愛を受け止めてくれ……っ」  くそっ、いちいち恥ずかしい事を言うんじゃねーよっ!  お前の子種でも精液でも俺が受け止めてやっから、余計な事言うんじゃねぇ!  内心そう思うのに、俺の身体はギルの言葉を素直に受け止めてしまう。  ああ、今から俺に注がれるのは、ギルの愛なんだ、と。  それを期待してしまった途端、俺の腹が勝手にギルの愛を一滴も零すまいと一層強くギルのモノを絞り込んだ。 「ぅ、ぁ……ギル……っ」  内側でしがみつく俺に応えるように、ギルのモノが一回り大きく怒張する。 「ゼス……愛している……っ!」  お前そればっかじゃねーかよ、そんなに俺の事好きでたまんねーのかよ。  頭の隅でそんな風に思った事も、ドクリと大きく脈打ったギルのモノから腹の奥へと大量に注がれる熱い愛の前に吹き飛んだ。 「ンンンンッ――!!」  なん……っ、これ……っっ、イイにも、程があんだろ……っ!?  ぁああ、くそっ……、腹の奥……っ。  ぁ……熱くて……、溶けちまいそうだ……。 「ッ、ぐ、ぅ……ッ」  ギルの愛は、俺にこれでもかと激しい快感を叩き込んでくる。  ダメだ、もう、息が、できねぇ……っ。 「ああ、ゼス……もう二度と、離さない……」  ギルはずっしりと重い言葉を吐きながらも、俺に口づけて、そっと息を吹き込んでくる。  その刺激に、呼吸を止めていた俺の体が慌てて再開する。 「ぶはぁっ、はっ、はっ……」 「ゼスは、追い詰められると息を止めてしまう困った癖があるな……」  ギルが何か言っている、けど俺にはそれを理解するだけの余裕がない。  もう気持ちいいって事しか分からない俺を、ギルはいつまでも優しく揺らし続ける。 「ぅ、あ……ぁ……っ、んっ、ぁあぁ……」  熱い物がたっぷりと注ぎ込まれた俺のナカを、ギルがゆるゆるとかき混ぜると、その度甘い刺激が広がって……。  もうあとちょっとってとこまできてんのに、いつまでも降りてこれねぇ……。 「も、ずっと、イッてる、ぅ……っ、も、ぅ、や、め、っ……んっ」  ぶるぶると震える両手で、ギルに助けを求めるように太い首にしがみつく。 「ああ、そうか。あまり長いのも辛いのか」  ギルはようやく気づいたのか、動きを止めてくれた。  それでも、俺の体はいつまでもビクビクと名残惜しげに痙攣し続ける。  腹と腰が、なんかもうすげー甘ったるくて、ふわふわしてる。  俺はようやく整ってきた息を吐いて、眉を顰めて言った。 「ったく、いつまでイかせる気だよ……、死ぬかと思ったんだが……?」 「それは、死ぬほど気持ちが良かったと言うことか?」  その受け取り方は前向き過ぎんだろ。 「……つーかお前一回出したくせに、なんでもうこんな硬いんだよ」  俺のナカで、ギルのモノは既にガチガチに戻っている。 「ゼスがあまりにも愛らしく艶麗だからな。愛する人にこうも艶めかしく喘がれては、萎える暇がない」  ギルは蜂蜜色の瞳を細めると、大きな手の長い指で俺の額に汗で張り付いた髪を優しく整える。 「……俺のせいだってのかよ」 「いいや、ゼスのおかげだという話だ」  どっちも変わんなくねーか? 「体は落ち着いただろうか」 「ん……まあな」  つっても、まだ腹んナカは甘ったるくてふわふわしてるし、腹筋もまだ小さくピクピク震えてんだけどさ……。 「再開しても構わないか?」 「っ!?」  いや、驚くとこじゃねーよな。だってギルのはまだガチガチなんだからさ……。  でも、俺の体が、もう……これ以上されたら、どうなるかわかんねーっつーかさ……。 「もう少し待つ方が良いだろうか……」  まるで、しゅんと垂れ下がった耳と尻尾が見えるような、そんなしょんぼりしたギルの様子に、俺の胸がムズムズする。  そうだよな。  そんなガチガチなのに、俺んナカに入れっぱなしで、動くなってのは辛いよな……。  まあ、死ぬようなことにはなんねーだろうし、いいか。  もう一度くらい、ギルの好きにさせてやっても。 「ったく、しょうがねーな」  ため息混じりの俺の言葉に、ギルはパアッと破顔する。 「あんま激しくすんなよ?」  俺の言葉に、ギルは「約束する」と答えた。  そしてギルに「ずっとこの体勢ではゼスの股関節に負担がかかるだろうから、うつ伏せてくれ」と言われて、俺は素直に従った。  後から思えば、これがダメだったんだよな。  ギルは約束通り、激しく俺を突き上げるような事はなかった。  ただただ、いつまでも優しくゆるゆると俺のナカを愛撫し続けた。  ギルは繰り返し俺に愛を囁いては、俺の左耳の後ろを執拗に舐めている。  伏せた俺の上にギルが全身でのしかかると、ぴたりと重ね合わせられた肌に俺は身じろぎ一つできなくて、ひたすらにギルから与えられる優しい快感を、躱すことも逃す事もできないまま受け止め続けるしかなかった。 「ぅ……、も、う……、きもち、よす、ぎて……むり……」  繰り返し筋肉を使い続けた途方もない疲労から、とろりと瞼が落ちてくる。  体力の限界が近い。  俺の言葉に、ギルが動きを止める。 「無理をさせてしまってすまない、終わりにしようか」 「いや、お前……出せよ……」 「激しくなってしまうが、構わないか?」 「も、いいから、さっさと出せ……」  ぐったりと吐き出した俺の言葉に、ギルが「ではゼスの言葉に甘えて、少しだけ……」と嬉しそうに俺の腰を持ち上げながら体を起こす。 「んっ……」  ふと、俺はさっきから気になっていた疑問を口にした。 「ぁ……、なあ、ギル、俺の耳の後ろ、なんかあんの?」  ギクリ、とギルが身を強張らせたのが、繋がったままの俺にはよく分かった。 「い、いや……、何も……?」  ぜってー嘘だろ。 「何で隠すんだよ」 「か、隠して、いるわけでは……」  なんかそんなとこに傷痕とかあったか……?  生まれつきの痣でもあんのかな?  けど耳の後ろなんて自分じゃ見えねーもんな。 「ハッキリ言えよ」  肩を捻って後ろを睨むと、ギルは蜂蜜色の瞳をほんの少しの間彷徨わせてから、諦めたように俺と目を合わせた。 「……ゼスには、そこに黒子があるんだ」 「黒子……?」  そういやそうだったな……。  俺自身もすっかり忘れていたが、ずっと昔、俺を膝に抱いた母様が「あら、セレスティアはこんなところに黒子が並んでるのね」なんて言ってたのをぼんやりと思い出す。 「私は……木から落ちた貴方を受け止めた時、貴方の左耳の後ろに黒子が三つ縦に並んでいるのを目にしていた」 「……は?」  縦に三つ……?  そんな特徴的な黒子がこんなとこにあったのかよ。  さらに、あの頃は長く伸ばした黒髪ですっかり隠れていたはずのそれを、まさかギルが見てたなんてな……。 「い、いや、受け止めたというのは間違いだ。受け止めたいと願ったが、実際には受け止めきれず転倒した」 「俺は別に、そこを気にしたわけじゃねーからな?」  俺の言葉にギルがホッと息を吐く。  なんだよ、ほんと可愛いな……。 「分かってるよ、あん時お前がすげー悔しかったのも、俺を大事に思ってくれてたのも」 「ゼス……」 「そんで、俺の事守れるようにって、すげー努力してくれたって事も。それに……」  そこまで言って、俺は言葉を止めた。  ……いや、何言ってんだよ俺は……。  延々揺さぶられ続けて、俺の脳みそまで蕩けたんじゃねーのか……? 「それに……?」  ギルが優しく囁くようにして、俺に言葉の続きを求めてくる。  その声にどうしようもなく期待が滲んでいる。  思わず振り返ると、優しい蜂蜜色の瞳をしたギルが、俺の言葉をじっと待っていた。  ああくそ、しゃーねーな。  そんなに期待されちゃ、裏切れねーだろ。 「……今も、俺をすげー大事にしてくれてるって事もな」  思い切って言って、照れ隠しに小さく笑えば、俺のナカでギルのモノが一回り大きく膨らんだ。 「んっ……」  思わず、鼻にかかるような甘ったるい声が漏れる。 「ああ、ゼス……貴方は本当に……っ」  ギルの声が上擦っていて、何やら感極まっているらしい事が分かる。  これは激しく抱かれるな。  そう思うだけで、俺の身体は期待に震えてしまう。  まったく、俺は心より体の方がよっぽど素直だよな……。  ……まあ少なくとも、そう思える程度には、俺も自分の想いを認められるようになってきたわけだけどさ……。  そこまで考えたところで、俺の蕩け切ったナカをギルの昂った剛直が熱く擦り上げる。 「ぁああああっっ!」  あまりに激しい快感に、目の前がチカチカする。  そこから先は、ギルが俺のナカで果てるまで、俺はあられもなく身悶えながら甘い声を零し続ける事しかできなかった。

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