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第1話 婚約破棄

「ユーフォルビア、貴様との婚約を破棄する」 そう、長年婚約者として隣に立ってきた王太子に告げられ、私の頭の中は真っ白になった。 今日までずっと妃になるために、辛い勉強も妃としての振る舞いも身に着けてきた。 どれほど、王妃に虐げられ、王太子から冷遇されようと、泣き言1つ言わずにやってきたのに… 「代わりに、次期婚約者にダリア・クウォーツ伯爵令嬢を推薦する」 そう王太子が告げるや否や、真っ赤なドレスを身に纏った美しい女性が「ヨーゼフ様♡」と王太子の隣に擦り寄る。 ここは、高等学校の卒業パーティ会場。 私は、卒業と同時にヨーゼフ王太子と結婚する予定だった。 そのつもりで、彼に合わせた煌びやかな…、王室の色(ロイヤルブルー)をした衣装を身に纏ってきたのに。 「なんで」と「そんなことできるわけがない」とか、いくらでも文句の言いようがあったはずなのに、私の口から出たのは掠れた「はい」という言葉だけだった。 それからの記憶は曖昧で…、恐らく、従者を呼び自宅へ帰ったのだろう。 翌日からは学校もなく、まっすぐに王室に嫁ぐつもりだったためやる仕事もなく、私は実家のレイネル侯爵家の自室に籠っていた。 両親や弟たちも、私の傷心を慮ってか、食事や入浴以外では話しかけてこない。 まあ、王陛下と父の侯爵の間で取り付けていた”婚約”を破棄されたのだから、何かしらの文句を王家には申し上げているとは思う。 けれど、ずっと近くで王太子を見てきた私にはわかる。 ヨーゼフ王太子は陛下に何と言われようと意見を曲げるような男ではないし、ましてや私に謝った上で婚約を結び直したいなどと言うわけがない。 こうして、私は傷物のΩとして市場に放り出されたのである。

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