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第1話:空白の居場所

※モブ姦描写があります。 僕の名前は河崎正義。 ただの陰気なオタクだ。 趣味はアニメや漫画を見ることで、実は結構なショタコンである。 二次元だけでは飽き足らず、小学生の男の子が歩いているのを見かけるとジッと見てしまう。 我ながら変態だと思うけどこういう性癖は捨てたくても捨てられないのだ。 髪の毛は肩につく程度まで伸ばしていて、眼鏡をかけている。 人と話すのも苦手だから、新しい高校にもなじめず、クラスで一人ぽつんと机に座って過ごしている。 人前で自己紹介もやらされたけど、思わず緊張でどもってしまったばかりに、 クラスの笑いものにされてしまい…、その日以来僕はイジメに合うようになった。 *** 「オーイ!セイギ君!!ほんと名前負けしてるよ!お前の名前!」 クラスの中心人物っぽいチャラい男が僕の机の前に来て、周囲の大勢のクラスメイトが僕を指さして笑っている。 僕の入学した高校は男子校で、勉強が苦手だったばかりに、偏差値の低いところへ入学したら見事に不良クラスに当たってしまっ た。 完全に自分の選択ミスだけど、どうせ共学とか別の学校に行ってもイジメには合ったと思う。 「お前、これちょっと眼鏡とってみろよ!!」 「あっ、やめて…」 「なんだお前!?女みたいな面してんだな!!」 「本当だ!まつ毛なげェーし!目も大きいじゃねーか!!」 「すげーなおい!もっと顔見せろよ!!」 「やめて…っ」 中心人物のいじめっ子が僕の眼鏡を無理やり外して、コンプレックスである僕の顔をクラスの見世物にしている。 僕はこの女顔がとても嫌だった。 だから前髪を伸ばして、少しでもわかりにくいように隠していたのに…。 この日からさらに僕の学校生活は地獄と化していく。 体育の授業前後にて、居室で着替えていると、 「お前は俺たちと一緒のところで着替えるなよ!トイレ行けトイレ!!」 「そうだ!そうだ!お前がいると落ち着かねェーんだよ!!」 と追い払われ、完全に教室に僕の居場所はなくなっていた。 それから僕は着替えはずっとトイレの個室で着替えて、辛くなる時はこっそり泣いたりした。 担任の教師に相談する気も起きず、かといって親にも相談できず、時間だけがただ過ぎていく。 不思議と登校拒否は起こさず、自分は空気だと思って学校へ行くようにしていた。 意外とメンタルが強いのかなと他人事に考えつつ、一人過ごしていた。 *** 「あー彼女ほしい」 「なんで俺、男子高きたんだろ…」 「女つくってよー!童貞卒業したいよな!」 「そうだよ!こっちは思春期なのによォ!!」 休み時間になると定番のセリフをクラスメイトが吐いていて、バカだなぁと僕は内心思っている。 共学に行ったからと行って、彼女ができるわけではないだろ。 僕が少し、クスリと笑うと、クラスメイトがこっちを振り返ってみてきた。 「お前、いま俺たちのことみて笑っただろ?」 「おい」 「笑ってないです…」 「ああ?何言ってんだよ!!」 にぎやかなクラスのはずなのに、僕の小さい笑い声は簡単に拾われてしまい、またイジメられる。 暴力を振るわれるまでは行かないけれど、暴言を吐かれるのは飽き飽きだ。 「俺たちのことバカにしたんだろ?今よォ」 「何か言えよ!河崎セイギ君!!」 いじめっ子の一人が僕の前髪をつかんで、僕の顔を睨んで見てきた。 すると、突如顔を少し赤くして咳払いしたのだ。 もう一人も僕の顔を見て、たじろいで、また軽く咳ばらいをし、暴言を吐くのをやめた。 「お前が悪いんだからな!!」 「そうだそうだ!!」 捨てセリフだけ吐いていじめっ子は退散していき、そそくさとトイレへ去っていった。 僕は何がどうなのか全然わからなかった。 ただ、時間が過ぎれば過ぎるほど、クラスメイトの視線を、僕はチクチクと刺さるような感覚に襲われた。 *** 暑い夏がやってきた。 クラスメイトは相変わらず、僕のことをイジメてきて、僕はそれに耐えつつ、受け流す日々だった。 今日は好きなアニメが夜やるからリアタイしたいなぁと考えていると、 担任の教師が、「今日からプール開きだ!お前ら水着忘れるなよ!!」とクラス全体に声をかけていた。 ああ、そうか。プールか。中学の頃と体格は変わってないし、同じやつでいいや。 僕は自分の好きなアニメのことを考えて、その日は過ごした。 クラスメイトのバカな奴らは相変わらず女に飢えていて、そういう発言をしている。 プールの日はあっという間にやってきた。 けど僕は着替えも教室ではだめだとクラスメイトから言われているため、またトイレでこっそり水着に着替えた。 夏も長袖で過ごしていたため、肌は白く、日焼けなど全然していなかった。 髪の毛も、先生にうるさく言われるだろうから縛っておこうと、ヘアゴムで軽くしばった。 プールサイドへ現れたら、クラスのいじめっ子がみんな僕の顔を、僕の体をじろじろと見てきている。 嫌な時間だけど、我慢するしかないなと思った。 プールの時間は先生の目があるから、暴言とかそういうのはなかった。 ただ異様に、クラスメイトが僕のことを見てきていて、痛いくらいの視線を感じた。 *** 大したことのなかった僕の夏はもうすぐ終わりを迎えようとしている。 放課後になり、帰ろうと準備をしていると、クラスメイトのいじめっ子が集まってきた。 「な、なに?」 「お前が悪いんだからな…」 またこのセリフか…もう聞き飽きたな。 僕はいつも通り、適当に交わして逃げるようにその場を離れようとしたら、クラスメイトは複数人いるから僕の腕をつかみ、逃げ られない。 「は、離してっ…」 「駄目だ」 「俺たちはもう我慢できねーんだよ!」 「こっちこい!」 ズルズルと引きずられるように僕は多目的室まで連れて行かれていった。 クラスの連中の顔を見ても、なんだかいつもと様子が違う気がした。 「痛い!やめて!」 乱暴な手つきで複数人に眼鏡をはずされ、衣類に手をかけられ、脱がされる。 みんな興奮した様子で僕の顔を見て、僕の少し日焼けした肌を濁った眼で見てきた。 「本当はこうされるのを待ってたんじゃないのか!?」 一人が叫ぶように言って、僕の下着に手をかけ、僕はみんなの前で全裸にされる。 みんながみんな、僕のことを欲情しきった目で見ている。 誰かが、荷造り紐を持ってきて、僕の手首を拘束し、逃げられないように紐で足首も縛られた。 一人が、「俺もう限界だ…」と口走り、ズボンのチャックを下げ始めた。 僕は恐ろしいことが頭に瞬時に浮かび、それは現実になった。 「うぐっ」 クラスの連中の性器を口の中につっこまれ、喉の奥までズコズコとされる。 突っ込んできた奴はあっという間に「あっ、もうイク」っと、苦くてまずい精液の味が口内と喉の奥に広がる。 吐いて嗚咽を漏らすも、次々とクラスの連中が僕の口の中へ性器を突っ込み、僕の前で自慰を始め、僕の体に精液をかけていった 。 「あっあっ…やだっ…たすけてっ…」 お尻の穴にも強引に性器を入れられ、肉が裂ける強い痛みが体を襲い、出血したのかジュッポジュッポと音をたてて後ろの穴も犯 される。 「お前が悪いんだよ。お前が俺たちをこうしたんだ」 また口の中に性器を突っ込まれ、僕は何度目かわからないクラスメイトの精液を全身に浴びせられた。 「うっ…またイク」 ドピュピュッ 「次変われよ!俺もやりたいんだ!」 「俺だって!」 バチュンバチュンッ 変わりばんこに回されて、僕は快感も何も感じず、ただ異物感と鈍痛だけが襲い、死にたい気持ちに駆られた。 そのうち夕方から日は落ちて、クラスメイトは散々僕に精液を浴びせると満足して帰っていった。 「うっ…おえっ…うぐっ…」 口の中がまずくて、苦くて、床に嘔吐して、全裸のまま僕は床にうずくまって泣いた。 しばらくすると教師が教室の見回りをしていたようで、僕は発見され、保護された。 その時初めて僕はイジメに合っていたことをすべて教師に話した。 先生は黙って僕の話を聞いてくれて、「何も気づけてやれなかった、すまない…」と僕と一緒に泣いてくれた。 こうして僕の長い夏は終わり、僕の学校生活も終わった。 *** 今回のイジメもとい、集団レイプ事件は生徒の家族にまで知れ渡り、僕と僕の両親は大量の謝罪の言葉をもらった。 学校にも、もう通えないと僕が言うと、編入試験抜きで、転入できる高校を学校が手配してくれた。 ニュースやテレビにも報道され、大きい事件となった。 僕の名前やいじめっ子など個人と特定されることは全て匿名表示だったけど大きいニュースになった。 新聞の一面を飾り、僕の家には取材陣が押し寄せてきて、僕の心の傷はえぐられるばかりだった。 両親と相談し、引っ越しをして、遠い町へ移動した。 さすがの取材陣もそこまでは追いかけては来なかった。 一部がまだ追っかけで取材に来たが、対応せず、無視した。 ニュースも新しい大きい山が見つかるとすぐさまそっちへ移動していき、ただ時間は過ぎていく。 あとはこの辛い記憶が思い出ではなく、消えるべき記憶として風化するのを待つしかない。 僕はこのあと、共学の高校に編入し、そこではイジメにも合わず、平和に過ごし、卒業式を迎えた。 あの恐ろしい真夏にあった事件は心の傷として残り続け、いつまでも夢にも出てきて僕を苦しめた。 高校卒業後、大学にも行ったけど、対人恐怖症をこじられ、僕は友達ができなかった。 進路について色々考えたけど、夢も希望もなく、特になりたい職業の無かった僕はうやむやのまま就活をし、失敗した。 当時、コンビニでアルバイトをしていたため、卒業後もそこでフルタイムで入るようになった。 一人暮らしも始め、少し古いアパートだけど住人は気さくで優しいお年寄りやおじさんだったので、のんびりと暮らしている。 夏になると僕の心の傷はジュクジュクとしてきて、まだ生傷のままだ。 いつかは癒える日が来るのだろうか…? そして何度目かの夏を迎え、昭和のガキ大将を具現化したような子がコンビニへ入ってきた。 太々しい正確なようで、恐らく門限であろう夕方までコンビニで漫画本や雑誌を読んで寛いでいる。 友達はいないのかな? 結構ヤンチャそうだけど可愛いなぁ。 毎日飽きずに、コンビニに一人で来て、普通なら不快な客だろうに、僕は興味を持った。 ためしに、声をかけてみようかなぁ…。 胸がドキドキして、なんだか恋をしているかのような気持ちになった。 その子へ近づくと、怒られると思ったのか少し怯えた表情をされ、昔の自分を思い出した。 僕は精一杯の優しい笑顔で、その子の頭を軽く撫でて、坊主頭の感触を楽しんだ。 「また来たね」 僕にとって長い夏がまた始まる。 おわり

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