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第2話:全てを食らい尽くす㊤
「なあ、正義!」
ジロッと強気な眼で、いつもセットされている金髪の髪は前髪にさがっていて水気を帯びている。
お風呂上りなのは一目瞭然で、両肩にタオルをかけ、畳の上にあぐらをかいて座っている男、花梅竜二が恋人の正義をジッと見る。
「な、なんだい、竜二くん。髪の毛乾かそうか?」
少したじろいだ様子で正義がドライヤーを片手に竜二の前に立っている。
なんとなくこの先の様子が想像できるようで冷や汗をかき、焦っているように見える。
「髪の毛いいよ、別にこのままで。それよりさ」
「…う、うん……」
「なんだよ、嫌そうな面して」
「そんなことないよ?」
声が裏返って、余計に焦った様子の正義を見て竜二は不服そうにしている。
もう初めて出会った頃から3年は余裕で経過した。
竜二は成長が早く、あっという間に正義の身長を抜かし、体格もガッチリしてきた。
正直ショタコンの正義的にはおいしくない展開であったが、悪い気はしない。
竜二のことは恋愛対象として捉えていたためそれほど気にしはしなかった。
今年で竜二は高校生になった。
「アンタを抱かせてくれ」
またこのセリフだ…。正義は頭が痛くなった。
中学生の頃から何度も言われて、正義はそれとなくやんわりと断り、抜き合いっこだけで済ませてきた。
2人は交際してもう長く、けれど体をつなげたことは一度たりともない。
竜二はずっと前から求めてきており、しかも自分がリードしたいと言ってきている。
「また今度じゃ~…駄目、かな?」
「もう待てねぇーよ!!じゃあ何だ?理由を聞かせてくれよ!!」
「う~~~…」
沸々と眼をギラギラさせて、肉食獣みたいな眼で自分を見てくる竜二を見て正義は内心諦めが出てきてしまう。
過去のトラウマが頭をちらつき、心臓に痛みが走る。
思い出すだけで呼吸が苦しくなり、嘔吐したくなるくらいの辛さだった。
「あのね、竜二くん。僕は昔、とある出来事があったんだ」
「うん?」
「その、聞いて、もらえるかなぁ…?」
「正義の話ならなんだって聞いてやるよ」
竜二がまっすぐな眼で正義を見つめてきて、少しドキッとする。
けれど話を聞いてくれると言うので、正義は呼吸を少し落ち着かせて、心の準備をした。
「実はね…」
正義は竜二に包み隠さず、過去の事件を話した。全てを、全貌を、現実にあったことを伝えた。
話している最中、冷や汗がまた出てきて、指先は震え、顔はひきつり、泣きたい気分にもなった。
実際は気が付いたら泣いていたのか、竜二は黙って正義の体を抱きしめて、背中を撫でてくれていた。
「っう……ぅ…ごめんね、竜二くん」
「アンタは悪くないだろ」
「ひぅっ…ううっ……」
「正義…あの…」
竜二がぎこちない表情で正義の背中を撫でつつ、いたたまれない様子で言う。
「生まれてくるのが遅くて、ごめん」
「っう……君が、謝る内容ではないよ…っ…」
「俺、今まで散々、正義に抱かせてほしいって言ってきたけど、悪かった」
抱きしめる腕を弱め、ゆっくり離されると、竜二は正座になり、頭を下げてきた。
正義は自身の涙を手でぬぐい、ただ驚くだけだ。
「竜二くん…」
「正義、俺わかったよ!今晩、俺のことを抱いてくれ!!!」
「ええーーっ!!??」
竜二が覚悟を決めた目つきで正義を射抜き、正座している。
これは本気の目だ…。
最近ますます竜二くんはお姉さんの京子さんに似てきていて、花梅家って何なのだろうかと思う。
潔いというか、男気あふれる家風だなぁと思った正義であった。
「さあ、俺はを抱いてくれ、正義!!」
「あの、竜二くん?」
「どうした!嫌なのか?」
「あの…えっと…」
竜二が布団を指さし、正義を手招きをする。
だが、正義は困った様子でオロオロとしているだけだ。
「竜二くん、僕は、君に抱いてほしいって思ってるんだ…」
「え!?大丈夫なのか…?」
「大丈夫じゃないと思うけど、辛いことがあったからこそ、君に塗り替えてほしいんだ」
「……正義」
少し気恥ずかしく、顔が熱くなるのを抑えられない様子で正義は話した。
竜二も聞いていて照れるのか、顔を赤くしている。
「竜二くん」
「は、はい」
正義が顔を真っ赤にし、震えた様子で竜二を見つめる。
「僕を抱いてくれるかな?」
まるで一世一代の大きな告白のようであった。
竜二は二つ返事で「おう」と応え、2人はもう一度抱きしめ合った。
***
「じゃあ、正義、…よろしくお願いします」
「う、うん…」
お互いさっきの態度とは違い、緊張した様子になり、布団の上で正座している。
竜二が覚悟を決めたのか、正義の肩をつかむと顔を近づけ、触れるだけの口づけをした。
少しずつ口づけを繰り返し、だんだん濃厚なものへ変えていき、舌を入れると正義も竜二も興奮してきて熱が集まる。
「ふぁっ…あっ…」
「ん…ふっ……」
口付けを何度も繰り返し、竜二が正義の服を脱がしつつ、体を優しくさすり、愛撫する。
正義が怖くないように少しずつ、少しずつやろうと竜二は思った。
「正義っ……」
背中まで伸びた正義の髪の毛に軽くキスをし、耳を甘噛みし、首筋から鎖骨まで舌を這わせる。
正義の体もそれまで震えていたが、快感からか、白い肌も赤くなり、表情も少しずつ情欲に染まりつつある。
「竜二くん…竜二くん……」
「大丈夫だ、正義、大丈夫」
正義のズボンへ手を付ける前に、竜二も自身の服を脱ぎ、周囲へ放り投げる。
一度、正義を安心させるために口付けをし、お互いの体を密着させる。
正義も竜二の口づけに応え、竜二の背中に腕を回し、強く抱き合った。
「正義…、俺…初めてだけど…、痛かったらごめんな…」
「大丈夫だよ。僕たちなら」
「そうかなぁ」
布団の上で裸で抱きしめ合い、心情を打ち明ける。
些細な不安だが、お互いにとって大事なことである。
「ゆっくりやるから…」
「んっ…うん……」
竜二の目に熱がこもり、熱い眼差しで正義を見つめ、正義もそれに応えて見つめ返す。
正義の内腿に唇を寄せ、何か所かキスマークをつけるとビクビクと太ももが震え、竜二は満足そうに笑う。
性器も反応し、半ば立ち上がりかけているため、竜二が軽く舌先で舐める。
「ふっ…ぁぁっ…」
「正義のここ、反応してるなぁ」
正義が体を震わせ、快感に耐え、白い肌が完全に赤に染まり、それを竜二は楽しんでみている。
体をゆっくりと愛撫し、正義がリラックスできるように竜二は気にかけつつ行為を続ける。
これから行う行為は初めてなので、少し緊張した様子で、ローションを手に持って温めた。
人肌程度の対応になったら、少しずつかけようと思い、正義の秘部に手を向けると手がすべり、勢いよくかけてしまった。
「ひゃぅっ…」
「ご、ごめん!正義!いま、挿れるからな…」
「う…うん…」
すっかりローションまみれになった正義の陰部に竜二はドキドキしつつも、自身の指先をローションに浸し中指だけ秘部に入れていく。
深爪にしてきたため、大丈夫だと思われるが正義は痛くないだろうかと、不安げに竜二は正義の表情を見ると、半泣きの正義と眼が合う。
恐怖からか、少し震えていて竜二は空いた手で正義の体をさすり、口づけをした。
「正義、正義…」
「大丈夫だよ、僕は…」
正義の目からは涙がにじんで出てきており、悲しくも情けない表情をしている。
けど過去のトラウマから脱出したくて選んだ道だから、正義はやめるつもりはない。
「続けて…りゅうじくん…」
「正義…」
***
「っはぁ…ぁぁっ…はっ…」
「大丈夫か…いま指が3本入ったぞ」
「うん……ぅん…」
指を3本入れて、中をほぐすように優しくかき混ぜるように広げていく。
空いた手で、性器をもみほぐし、刺激を与えると、後孔が指を締め付けてくる。
「正義、そろそろ大丈夫か…?」
正義が竜二の肩をつかみ、そっと抱きしめる。
お互いの乳首が重なり、些細な刺激で竜二の性器も反応し、限界が近い。
「…いいよ。竜二くん………きて」
「っ…まさよし……」
正義が竜二の後頭部を軽く撫でて、耳元にボソッとかすれ声で誘う。
それだけで背筋がゾクゾクとし、快感へと変わる。
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