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第6話:年上の恋人
「おーい!正義!来たぞー!」
金髪で前髪を軽く下ろし、ワックスでセットした青年が部屋へ入ってくる。
着ているのは高校の制服だが、改造しいており、学ランの丈を短くし、ズボンもダブダブにしている。
目つきも悪いが、憎めない顔つきで、優しい雰囲気も滲ませている。
住んでいる場所はボロイアパートで、今も昔も変わらず、居間と台所がある狭い部屋である。
「竜二くん、おかえり」
髪の毛は背中あたりまで伸ばしているが、一つにまとめているためか清潔感がある。
眼鏡をかけているが、眼は大きく、まつ毛もながくて可愛い容姿をしている。
洗濯物をたたんでいたようで、乾燥機から取り出した衣類を片手に持って出迎えている。
竜二こと、金髪の青年は、正義を一目見て正面から抱きしめ、体温をじんわりと頂いている。
「正義、良い匂いする」
「柔軟剤変えたからかな」
「そうか?」
すんすんと正義の服の匂いを嗅ぎ、正義は苦笑しつつも愛しそうに竜二を見つめる。
あんなに小さかった小学生の男の子がもう、高校一年生か…。
自分はもう三十路となってしまい、歳の差といい犯罪である。
しかし竜二は、そんなことを気にしたそぶりもなく、正義にキスをねだり、口づけを交わす。
「っん……はあっ…」
正義が甘い吐息交じりの声を出し、顔を赤くさせると、竜二も興奮したのか、そのまま畳の上に正義を押し倒し、口づけを濃厚に
繰り返す。
「すっかり立場が逆転したな。正義」
竜二が勝ち誇った様子で正義の上に馬乗りになり、笑っている。
初めて出会ったときはまだ彼は小6だった。
今ではすっかり身長も追い越され、力も彼のが強い。
先日も下克上と言わんばかりに、押し倒され、正義は竜二に食われてしまった。
初めてとは思えないほど竜二は上手く、まぁ正義が長年かけて調教していたのもあるが、甘い一夜となった。
「不良にはならないでねって言ったのに…」
「なっ!ファッションだけだよ!俺悪い事なんもしてねーかんな!?」
すねた表情で正義が竜二の外見に文句をつけると、竜二は憤慨して文句を垂れる。
「今日は学校早かったんだね。この後どうするの?」
「決まってるだろ?」
「ん?」
「俺はずっと正義に会いたかったんだ、だからつまんねぇ学校さっさと飛び出してきたのによォ」
竜二が目に熱を込めて正義の瞳を見つめる。
それにゾクリと毛が逆立ち、けれど悪い気分ではない。
「洗濯物、終わってからでもいいかな。あと明日は仕事フルだから、手加減してほしいなぁ…」
「わーったよ!大丈夫大丈夫!!」
正義が顔を真っ赤にし、竜二に押し倒されていた畳から抜け出し、再び洗濯物を畳み始める。
それを竜二が楽しそうに眺めて、
「俺も手伝うよ」
と、正義のもとへ歩み寄っていった。
とても暖かく平和な空気にホッと正義は笑みを浮かべた。
***
季節は流れ、2人はいつからか、秘密の関係から少しずつ進展を重ね、恋人同士となった。
高校に入学した際に、チャンスとばかりに竜二は家族に紹介をした。
丁度、姉の京子が亜子を連れて紹介していたからだ。
幸い、寛容な家族だったため、最初は驚かれたが特に何も言われなかった。
父親と姉からは、
「お前にも守りたいものが見つかったんだな!大切にしろよ!!」
と、喝を入れられた。
今まで内緒にし、罪悪感があったが、親友の照良にも紹介したら、
「良かったな!竜二!!俺に話してくれてありがとよ!!」
と笑顔でガッツポーズをとり、竜二に軽く肩を組んでスキンシップをしてくれた。
中学から別々の学校へ通い、中々会えなくなってしまったが、友情は変わらずであった。
今は知る人ぞ知る公開された関係となり、やや犯罪チックなのは変わらずだが、昔より気にはならなくなった。
竜二が高校を卒業したら、一緒に暮らすつもりである。
家族には良いのか正義が心配して聞いたら、
「俺の姉ちゃんも俺と同じで彼女と一緒に暮らしてんだ」
と笑いながら話していた。
そういえばそうだったと正義は納得し、将来への楽しみに笑みがこぼれるばかりである。
***
「本当だったらよ、俺、正義と結婚したいんだ。けどこの国はできねぇんだよな」
「日本だと養子縁組になるかな」
「それだと俺が正義の子供になるから嫌だなぁ」
社会への不満をこぼし、竜二は洗濯物をたたみながら、将来の話をしている。
まだまだ障害の多いカップルだけれど、こうして2人一緒にいれば幸せである。
「っよし!お風呂沸かしてくる」
竜二が立ち上がり、風呂場へ向かい、これから行われる行為のための準備を始めているのを見て正義はドキドキする。
いつの間にかこんなに積極的になり、こちらがリードされる側になるとは思わなかったのだ。
いや、初見から実はそう思っていたのかもしれないが、わからない。
「正義ー!沸いたら一緒に入ろうぜ!!」
「うん」
ただ一つわかることは、2人の未来は明るく照らされている。
おわり
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