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第5話:しゃぶりつく獣
あの日、僕が初めて竜二くんと繋がった。
あれから僕はもう、限界だと思った。
何がだって?
あはは、そんなの簡単じゃないか。
僕の体がもたないんだよ。
しゃぶりつく獣
「ひゃぁっ…ぁぁっ…ああっ」
「まさよし、まさよしっ…」
ズチュッ…ジュプッ……
狭いアパートの一部屋で、男が二人、肌を重ね合い激しい性行為をしている。
片方は金髪で獣のように、黒髪の男に食らいつき、歯型を残し、腰を打ち付けている。
もう片方は食べられてしまう草食動物のような鳴き声を上げ、ひたすらに快感に打ち震えていた。
「もうっ…だめぇっ…ほんとに…りゅうじくっ…ん…」
「まだまだっ…足りねぇよ……」
口付けをされ、口内を舌で犯され、お互いの口から混ざり合った唾液が頬を、顎を伝い、濃厚な口づけをひたすらに求められる。
正義の性器はもうヘナヘナで、けど終わることは、休むことは、許されず、性器をしごかれ、快感を与えられる。
ゾクゾクとして、腰から背中にかけて鬱血痕をつけて、歯を立てて、むさぼり付いて離さない。
腰を打ち付け、体位を変え、背面からにしていたのを正面に向きを変えると正義の泣きはらした顔が見える。
「まさよし、可愛いなぁ…」
「もう、勘弁して…」
「それは無理だな。だって正義が美味いから、な?」
返事は口づけに飲み込まれて、結合部からはグチュグチュと卑猥な音を立てて畳にシミを作っていく。
ああ、畳、あんまり汚したら跡が大変なのに、と頭の中で正義は考えるも、すぐに波にさらわれていく。
腰に負担がかかり、何度も何度も竜二の性器を受け入れたそこは完全にほぐれきっており、トロトロだ。
ジュプッ…ジュプッ…
「はぁっ…やっ…またっ…ああっ…」
ドピュッ…ビュルルッ……
「正義のなか、俺のが入りきらなくなって、泡立って出てきてるよ」
「やめぇ…見せないで……」
結合部を高々と上げ、腰にズクンと痛みが走り、同時に快楽も襲ってくる。
精液でドロドロに溶け切ったそこは2人が一つにつながった箇所でもある。
正義は顔を真っ赤にして、かすれた声で竜二に頼み込む。
「もう、きみの体力に付き合えないよ……」
「俺はこんなに、お前を求めてるのに?」
竜二は不満そうに正義の内腿を手でなぞって触り、正義のふにゃふにゃになった性器を手で優しく撫でる。
そうすると敏感な正義は体をビクビクと震えさせて、中に納まっている竜二の性器を締め付ける。
「なあ、正義、俺ってさぁ」
「ぁっ…ああっ…んぅっ…んぁぁっ……」
「お前のこと、全部食べたくて仕方ないんだ」
「はっ…んやっ…ああっ…」
皮膚に畳の跡がついて、全身が真っ赤になり、ヌルヌルになった体でお互い密着し合い、ズルズルと性行為を続ける。
竜二は額の汗をぬぐうと、正義の目元の涙を舐めて吸い、飢えた獣のような目で正義の目を射抜く。
「やっぱり正義は、まさよしは…」
「なにっ…もうっ…んんっ……」
「俺、お前に嫌だって言われてもやめられないよ」
性器を抜くと、正義の性器とこすり合わせ、ビクビクと体が震え、快感が電撃のように走る。
背中から腰にかけてムズムズするような快感が襲い、あっという間に果てて、竜二は正義の上に覆いかぶさる。
「んぁ…もう…だめ…限界だぁ……」
正義の泣き声のような、情けない声だけが部屋に響き、しばらくするとまた喘ぎ声に戻った。
***
「ええ!!??しばらくエッチ禁止!!??」
アパートの外まで聞こえそうなくらい大声で竜二が叫ぶ。
それを正義がシーッと指で口元を押さえ、控えるようにジェスチャーした。
「気持ちいいからいいじゃん。エッチ」
「竜二くん、僕は今、何歳かな?」
「30歳」
「正解。君は今、何歳かな?」
「俺?俺は16歳」
竜二がふてくされた顔で質問に応え、不満そうに返す。
それを正義は腰をかばいつつ、距離を詰め、竜二の両肩に手を置いた。
「竜二くん、僕は若すぎる君の体力についていけないんだよ」
「そんなぁ…」
「わかってくれ。僕はもうオジサンだ」
「俺の性欲はどうすればいいんだよ!正義をこんなに欲しがってるのに!」
そういって竜二は正義を押し倒し、眼鏡をはずして床へ放り投げて目をジッと見つめる。
正義は困った表情をし、目をぱちぱちと瞬きした。
「じゃあ、週に3回で。2ラウンドまでね」
「ハァーーーーッ!!??」
「それが嫌なら僕は当分君とはヤりたくないよ。仕事に支障が出る」
正義は竜二を押しのけて、腰を押さえつつ起き上がると、眼鏡を拾いかけ直す。
竜二は放心状態で、落ち込んでいた。
それも仕方あるまい。16歳といったら性欲が旺盛なお年頃である。
ご飯を何杯食べても美味しいように、何回でもやりたいものなのである。
「竜二くんにつけられた歯型とキスマークも多すぎるんだよなぁ」
正義は体のあちこちにつけられた箇所にヒリヒリする感覚に耐え、撫でさすっていた。
まるで肉食獣のような竜二に、正義は今まで性行為のとき、何度もセーブするように訴えてみたが、性行為に夢中で聞く耳を持たなかった。
ただでさえ、インドア派で体力のない正義は、若さと体力に満ち溢れる竜二を毎度受け入れることはできない。
我慢してもらう。
それしかない。
正義は心に決め、放心状態の竜二に申し訳ないと思いつつも首輪をつけさせてもらうことにしたのだった。
おわり
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