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第1話【シリアスver. 】
「なぁ、遥斗」
肩を並べて歩く幼馴染みの洸太が、不意に声を掛けてくる。
「明日のテストの事なんやけど……」
「……」
いつの間にか始まった、洸太のエセ関西弁。本人曰く、推しの関西弁に影響を受けたらしい。
それをうざったく感じながらも、日が沈んだら真っ暗になるようなこの田舎道に、洸太のような明るい奴がいて良かったと素直に思う。
ゲコゲコゲコゲコ、ゲコゲコゲコゲコ──……
生温かく、湿った微風。
煩いほどに響く、アマガエルの合唱。
耳を劈くようなこの音や空気が、肌に纏わり付いて気持ち悪い。
何故だろう。
毎日この道を、|洸太《コイツ》と一緒に通っている筈なのに。遙か遠い昔の出来事のような、酷く懐かしい感じがして仕方がない。
それに。何か大切な事を、忘れてしまっているような気さえ──
「──ッ、!」
何かが、俺の足首を掴む。
じっとりとしていて妙に温かく、強い意思を感じる──大きな手。
瞬間、ぞわりと全身総毛立つ。
「洸太」
大声を出したつもりなのに。口から発せられたそれは、思ったよりも小さくて。異変に気付かず歩いて行く洸太が、視界の中で揺れる。
「こう──、」
『………だめ、だ』
足元から聞こえる、微かな声。
『こっちに……もど、れ……!』
すすり泣くようなその声に、一瞬で肝が冷える。
怖ず怖ずと視線を下にやれば、土の中にぼんやりと見える──“俺”。
まるで鏡映し。同じ制服を着た“俺”が地面に膝をつき、片手を突き出して俺の足首にしがみついている。今にも泣き出しそうな顔で何かを伝えようとしているが、蛙の鳴き声に邪魔されて、よく聞きとれない。
『………目を、さませ……』
ヴォォ──ッ、
全てを掻き消すような、突然の激しいクラクション。強いヘッドライトの光に全身が包まれた瞬間、足首を掴んでいた感触がふっと消える。
「洸太っ!」
思うより先に、身体が動く。手を伸ばして洸太を掴む。
引き寄せた瞬間──バランスを崩して土手に転げ落ちる。と同時に、勢いよく走り抜けていくダンプカー。
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