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番外編 その後、良い夫婦の日 R18

リビングの時計は7時を指していた。 子供たちにそろそろおもちゃを片付けるように指示しキッチンに戻る。 今日の晩御飯は鍋だ、涼介さんが帰ってきたらすぐに食べられるように準備する。 火を通し終えた野菜を入れた鍋をダイニングのカセットコンロの上に乗せていると、裕基がそれを手伝いたいと近寄ってきた。目的はお手伝いではなくつまみ食いなのはわかっているが、可愛くてついその口に鍋の具のちくわを放り込んで小皿を渡した。志乃を抱いてその後ろをついて歩く。 妹ができてすっかりお兄ちゃん風を吹かしたがりの裕基はお手伝いがマイブームだ。 定刻通り、7時を10分すぎて涼介さんが帰ってきた。ただいまと玄関で声がして迎えに出ると今日もしっかり待っていた。裕基が涼介さんカバンを受け取ってリビングに行くのを見送ると。腕を引かれてキスされる。 「ただいま」 「おかえり」 涼介さんは目を細めて笑うと志乃の頭を撫でた。おかえりって迎えに出たいんだってわがままを言ったのをずっと守ってくれている。もう、忘れてくれてもいいのにと思う反面、些細な約束も大事にしてくれる涼介さんに頬が緩む。 「おっ、今日は鍋か」 涼介さんが洗面と自室を行き来して身支度を整え。ダイニングに座った。僕も志乃をチェアに固定して座る。4人揃うと裕基が保育園で覚えてきたご挨拶をする。 「手を合わせましょう」 「「合わせましたー」」 「ではご一緒に、いただきます」 「「いただきます」」 「どうぞ、おあがりください」 「「ありがとう」」 僕は世の中ではご飯前にそんなやりとりをするのだと息子を通して知った。ありがとうなんて素敵だなと思ったからこれを習慣にした。裕基は張り切って取り仕切ってくれる。 僕らのダイニングはいつも賑やかだった。今日はいないがお母さんたちといっしょに食べることも多くある。今日はお母さんたちは夫婦で外食に行ったので家族のみだけど。 カレンダーを見た。11月22日。 世間では良い夫婦の日と言うやつらしい。特にうちでは祝う予定などはないが、お母さんたちが外食と言うのはそれを祝う事らしい。 涼介さんは裕基の保育園での話を楽しそうに聞いている。僕は帰って来てから何度となく聞いている。内容はだいたい晴斗君のことだ。一緒にお絵描きしたとか。ジャングルジムに上ったとかそんな話だ。 僕はいったん立ちあがって鍋のしめのうどんを3つ用意してレンジにかけた。志乃はうどんが大好きで2歳児なのにすごく食べる。量の減った鍋をいったんキッチンに引き上げてうどんと刻んだネギを入れてひと煮立ちさせ、またダイニングのコンロに持って行った。 志乃がうれしそうに「ちゅるちゅるー」と言っている。 ほんとにいつだってにぎやかだ。涼介さんが志乃にうどんをとって短く切ってあげている。裕基はお椀からはみ出そうなくらいうどんをとっていた。 僕の家族。 夫婦2人から始まった家族は今は4人。幸せだなぁとしみじみ感じた。 いや、浸ってる場合じゃない。もう3玉あったうどんが残り少ない。急いで自分の分をよそった。 片付けも終わり、涼介さんが2人をお風呂に入れてくれるのをこたつで待っている時だった。玄関で「ただいま」と言う声が聞こえて出迎えるとお母さんたちだった。 お土産だと言って食パンを持って来てくれた。そのまま二人はこたつに入り落ち着いた。そこへお風呂から出てきた裕基が駆けてくる。 「みちこさん!こーさん!」 二人はおじいちゃんおばあちゃんと呼ばれると老けると言って名前を呼ばせていた。 「ひろきー。早くこたつに入んな―風邪ひくよー」 ちゃっかり道子さんの隣に収まって机の上の食パンを見て目を輝かせていた。 そこへ志乃を抱いて涼介さんがお風呂から帰ってきた。俺はドライヤー片手に裕基を乾かしていた。順番を待つように3人並ぶ。裕基を終わらせて志乃の髪を乾かす。 「裕基と志乃さん、明日は道子さんたちと動物園行かない?」 お母さんが動物園のリーフレットをひらひらさせた。 「行く!行きたい!」 裕基が元気良く返事をすると。 「しのもー」 腹巻もしっかり付けて頬を赤くした志乃もピョンと跳ねた。 「じゃあ髪が乾いたらうちに行こう」 二人が元気良くはーいと返事をして。お父さんがニヤリとしている。 「ということだから、今日は二人で過ごしなさい」 志乃は部屋から水原さんからもらったぬいぐるみと絵本で支度を整え。裕基の支度は一緒に着替えも詰めるため手伝った。 「よし、じゃあ。たまには水入らずでゆっくりしなさい。いい夫婦の日なんだから」 お母さんは志乃を抱き上げて両手でぎゅうぎゅう抱きしめている。裕基も準備が整ってお父さんと手を繋いだ。 「じゃあ、明日の夕方には帰ってくるからね。ゆっくりしなよ」 そう言って帰って行った。 バタバタバタっと話がまとまってさっさと出て行ってしまった。呆然と見送っていると、涼介さんが後ろからお腹に腕をまわしてくる。 「いい夫婦の日だって?」 急に二人きりになって慌てると。 「なーお?俺もう一回おふろ入ろっかな・・・可愛い奥さん洗ってあげないと」 そう言って久しぶりに見る欲を隠さない顔で目を細めた。 涼介さんにお風呂では隅々まで洗われた。 涙目の僕を嬉しそうに抱き上げてベッドに転がす。 子供の手が届かない様にクローゼットの上の段にスキンやローションを隠しているのだがそれを箱ごとドンとベットの横に置くと嬉しそうにキスを仕掛けてくる。そのまま後ろから抱き込んでお腹や肩を擦りながら唇をうなじに当ててくる。ずくずくとお腹にひびいて慌てて身を捩り涼介さんに抱きついた。 「ねぇ、今日鍋だったのどうしてか分かる?」 僕首筋に鼻をこすりつけていた涼介さんが目を見合わせる。 「良い、ふぅふぅーーの日だよ」 唇を尖らせてふーっと息を吐くと涼介さんがバシバシとまばたきを早くした。そのままとがらせた唇にキスを落としてくる。そのまま深いキスに変わり。口の中を甘い柔らかさが撫でていく。 一旦体勢を整えると。肩にキスを落として。そのまま、胸の尖りをべろりと舐めて。ふーっと息を吹きかける。ぞわりと背筋に甘い痺れが走った。 「このふーふーもナオには良いみたいだね」 そうやって、べろりと舐めてはふーっとやって僕はぞくぞくと高められていった。指でも高められるのも相まってどんどんと痺れが貯まっていく。 「りょ・・・りょすけ・・さっんっ」 まだまだそれを続けようとする涼介さんの頭を抱き込んだ。 「・・・気持ちいのが止まらない・・・はやく」 「じゃあ、今日はナオが動いてね」 そう言うと涼介さんは動きを早くしてゴロンと寝ころんだ。僕はのろのろと起き上がって涼介さんにまたがる。涼介さんは子供がいないとこの体位を求めてくる。あとで恥ずかしい感想も言ってくるのだが 「じっとしててね。動かないでね」 涼介さんの立ちあがった屹立に手を添えて切っ先をお尻に擦りつけた。 「ふぅ・・」 息を吐いてそろりと腰を落とせばぐぬぬと入ってくる。 「・・・はぁっ」 涼介さんは無情にも僕の腰をつかんでぎゅっと腰を押し付けた。 「ぁぅ・・」 僕は涼介さんの肩のあたりに手を突いた。じわじわと動いて、なんとか快感を逸らそうと努めた。涼介さんが僕をじっと見て、腰をつかんでいる手に力を込める。涼介さんもじらされるのに我慢できなくなったみたいだ。 「あっ・・ダメ」 涼介さんは的確に僕の弱いところをがつがつと突き上げてくる。僕もその動きに合わせて腰を揺らめかせた。頭がバカになる、脳の隅々までが気持ちいいで塗りつぶされた。こすられると疼く一点を避けていたけど。我慢できなくて摺り上げてみる。 腰が震える。涼介さんが手を伸ばして僕の両胸を摘まむ。 「んッ・・んぁあっ・・!」 快楽が決壊して全身にあふれた。 僕は荒い息のまま涼介さんに突っ伏すと、ねぎらうように背中に手をまわされた。僕はそのまま横に倒れてうつぶせる。涼介さんがねぎらうように背中を撫でいったん離れてからまた覆いかぶさってきた。そのままゆっくりとまた屹立を僕に埋め込んだ。 「あぁ、ナオはかわいい。ずっと、かわいいよ」 もうそこからは翻弄されるがままだった。何度か意識が白く染まった気がする。 薄暗い部屋で目をぱちりと瞬かせる。ちょっと長く目を閉じていたみたいだ。その間に体は綺麗にされてパジャマも着せてくれている。上だけ・・何度も求められたせいでまだ挟まっている気がする。 って、後ろから覆いかぶさる涼介さんはまだ埋まったままだ! 「ひぅ・・」 「まだ朝じゃないよ。寝てて良いよ」 そう言って涼介さんがうなじに鼻を擦りつけて腰を揺らめかせている。 「ぁあああぅ」 中でうごめく存在に気付くと自然と搾り取る様にぎゅんぎゅんと反応して涼介さんを締め付ける。涼介さんの「はぁーっ」と低く吐く息の音が聞こえた。枕にしがみついて顔を擦りつける。 こんなに穏やかな交わりなのに淫らに高まっていく自分が恥ずかしいと思うと余計、中で反応を返してしまう。 「・・・ぁ。ナオ膝立てて」 僕は恋われるままに膝を立てると涼介さんは起き上がって僕の腰に腰をぐりぐりと押し付けてきた。穏やかだった動きが急に激しくなる。僕の弱いところを擦り上げながら涼介さんも低く唸っている。 「・・・!あっ!!」 僕は真っ白になった。高揚感と倦怠感で動けない。涼介さんがずるりと出ていくのを感じてから。静かにそのまま眠りに入った。 もう朝まで起きてやるもんか! 僕の目の前に転がる開封されたスキンの数に甘いため息が出た。 僕は次の日家事をボイコットした。涼介さんは甲斐甲斐しく僕の世話を焼いてくれた。少し昔を思いだして笑ってしまう。 「俺らはいつまでたっても仲良しだからね。いい夫婦だよね」 そう言ってソファでだらけている僕に擦り寄ってくる。 「ねぇ、もっかい言って」 僕は涼介さんお首に腕をまわして引き寄せ鼻を鼻に寄せた。 「いいふうふ・・」 言い終わらないうちにとがらせた唇にふっとキスを送った。 子供たちが帰ってくる夕方まで、僕らは彼が木下涼介で僕がまだ牧野直哉だったころを思いだした。

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