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第27話 来訪
日の神と月の神の来訪予定日。晴と白瞑は御饌を準備していた。
「日の神様はパイがお好きなんだ。ご飯系もお菓子系もパイで注文が多かったよ。夜の神様はキラキラデザートとか、綺麗な食べ物が好きだよ」
白瞑が、軽く頭を抱えた。
「御饌まで、そうなんだ」
「え? どうしたの?」
「いや……何でもないよ」
軽くよろけた白瞑が、持ち直した。
「今回はお二人ともお菓子にして、パイとケーキを作ろうかなって思うんだけど」
「それはいいね。前に晴が作ってくれた桃の薔薇ケーキはとても美しかった。ああいうの、夜の神は好きそうだよ」
桃の薔薇ケーキは、短冊でやり取りしていた頃に御饌で上げたケーキだ。白瞑が覚えていてくれて、嬉しい。
「それじゃ、綺麗なケーキがいいね」
「うん……ん?」
台所の入口で、眷属のリスがこちらを覗いている。
ちょっとソワソワして、慌てている様子だ。
「どうしたの……!」
台所から廊下に出た白瞑が、顔色を変えた。
「白瞑?」
白瞑に続いて廊下に出る。家の中に知らない神がいた。
優しい雰囲気のお姉さんと、不機嫌そうな青年だ。
(もしかして、日の神様と月の神様。もう着いちゃったの?)
予定時刻より、かなり早い。
「随分と早いね。照陽 、夜見 」
白瞑の雰囲気が、いつもより張り詰めている。
「ごめんなさいねぇ、白瞑。夜見が待ちきれなくて、来ちゃったの」
照陽が眉を下げて笑う。
「とにかく広間に、どうぞ」
白瞑が二人を促した。
「晴、悪いけど、お茶の準備をしてくれるかい?」
「うん、わかったよ」
台所に入ろうとした晴を眺めて、夜見が鼻で笑った。
「なんだ。給仕のように扱っているのか。所詮は狸の獣人だものな」
「夜見、よしなさい」
照陽が夜見を諭した。
「御厨守なら、給仕係にはちょうどいいだろう」
夜見が、フンと鼻を鳴らす。
「夜見、それ以上を言うなら、私も言葉を選ばず話をさせてもらうよ」
白瞑の言葉が、いつもより鋭い。
(氷魚様の時より、ずっと神力が尖っている。ちょっと怖い)
夜見の目が、白瞑の後ろにいる晴に向いた。
「狸など、美しくない」
吐き捨てて、目を逸らした。白瞑の纏う神力が、ビリっと光を帯びた。
「白瞑、落ち着いて。私たち、お話に来たのよ。広間で、皆でお話ししましょう」
照陽が抑えようと懸命に仲裁している。
晴は白瞑の隣に立った。
「白瞑、ちゃんとお話ししよう。僕も一緒に行くから」
夜見があからさまに嫌そうな顔をした。その顔だけで、嫌われているのだとわかる。
(白瞑のことが好きな神様。僕が嫌われるのは仕方ない。だけど、白瞑は……)
神力から拒否しているのがわかる。
「そうよね。さぁ、行きましょう」
照陽に促されて、晴たちは広間に移動した。
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