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1 クラゲ
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三条 匠海 、人気グループのメンバーと交際、公の場で情熱的な口づけを交わす
俺の推しに関するこの記事が出たのはLive配信の数日後のことだった
いままでは噂程度だったけど、今回はばっちりキスしているところが写っている
Hikaruもさすがに言い逃れはできなさそう……
「はぁ~Hikaru様の平穏な日常が……!!」
ーー都内の撮影スタジオ
現在MVの撮影真っ最中
絵コンテの立ち位置には僕の名前、Hikaruの文字。本名は樫木沢 光 、
アーティスト活動するときはHikaruと名乗っている。
なんで? そりゃ僕を捨てた父親の苗字なんて名乗りたくないからに決まってる。
てことで、メンバー全員下の名前表示に揃えた。
「プロデューサー特権だよ、異論は認めなーい」
「はいはい、了解しました。お姫様」
少々横暴な指揮の執り方をしてもメンバーは優しくいなしてくれる。ありがたいことだ、このメンバーだからグループ活動が続いていると言っても過言ではない
立ち位置に素直に立ち、撮影は進む。
水溜まりに見立てた床の反射材、そこに映る自分を見つめて思う
今日の衣装やメイクもとっても素敵!
ただひとつ難点を言うとすれば、このヘアースタイルだろうか。
いや、見た目は透き通るような海のエメラルド色で気に入っている……でもこれ家に帰ってお風呂に入るでしょ、そしてシャンプーした後絶対に青緑の滴がポタポタと首とか鎖骨付近に溜まると思う……と未来の濡れ猫のような自分を想像して萎えていた
まぁ、これに関しては僕の管轄外だからどうしようもないんだけど。
衣装とかは目の前でにやにやしているこの人が担当している
彼、Shunこと南野 舜 である。
「なに笑ってるの」
「いや、今日も可愛いなぁと思って」
「衣装がでしょ」
どうせ自分がコーディネートした服を着た僕だから可愛いってことでしょ。分かってんだからね
「まぁそうとも言える」
「ねぇ! 光が可愛いから服が輝くんだよって言って!」
「えぇ……ヒカルガカワイイカラフクガカガヤク」
「棒読みやめて」
「不機嫌だな~なんかあった?」
この人は本当によく気付く、頭の回転が速いだけじゃない視野が広いんだ。そして……優しい
パフォーマンスのときにはバキバキに踊ってその圧倒的アルファの存在感で人々を魅了するくせにステージを降りると優しい笑顔でみんなを励ましながら鼓舞する
僕にとってお兄ちゃん的存在である
「なんでもないよ~寝不足なだけ」
見え透いた嘘を吐く
「嘘。マネージャーから聞いたよ、今日も遅刻ギリギリだったって。家出る直前まで寝てただろ」
バレてら
「朝方までなかなか寝付けなかったんだよ」
「なんで? なんか考え事?」
「まぁね……」
それ以上は聞いてこない。僕が濁したこと分かってくれたんだな、さすが。
最近僕は身体の不調に悩まされている。夜中に急に熱を出すようになった
朝には下がっているのだが、頭もずんずんしてなかなか寝付けない
それに……眠れないのにはもうひとつ決定的な理由がある
別れたい人がいるのだ。別に縁を切りたいわけではない、ただ友達に戻りたいだけ
なんとなく付き合ってはみたけどやっぱり違うな。と、付き合ってみたら分かることってある。まぁそれだ。
僕は友人関係に戻りたいけど、果たして彼は受け入れてくれるだろうか
最近は撮影が立て込んでてしばらく会えていない……この間に僕への熱が冷めてくれないかなぁなんて健康に悪そうな色のペロペロキャンディを舌先で味見しながら思う
合成着色料の化学的な味がする
あんま美味しくないな
「あげる」
キャンディをお兄ちゃんに押し付けて今日の撮影は無事終わった
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