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プロローグ

また、溢れ落ちていく。 「血圧低下しています!」 見覚えがあった。 嫌になるほど。 「処置室準備できてます」 ストレッチャーが動く。 白いシーツ。 酸素マスク。 「呼びかけへの反応ありません」 細い腕。 乱れた黒髪。 昔と同じ、どこかへ行ってしまいそうな身体。 違うのは。 今度は、苦しそうな呼吸が聞こえないことだけだった。 「久遠さん」 誰かが呼ぶ。 何かを話されている。 でも何も頭に入って来ない。 ストレッチャーが遠ざかる。 処置室のドアが閉まる。 あいつが、視界から消える。 その瞬間。喉の奥が痛んだ。 何があった。 どうしてこうなった。 お前は今まで、何を。 「……涼」 あの日も。 神様の趣味が悪いとしか思えない、クソみたいな日だった。 笑えるくらい手遅れで、何も守れなかった日。 あの日、俺は―――

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