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第45話
美味そうなにおいがする。
このにおいはカレーだ。
はら、へった……
眠気と食い気。
どちらもが勝っている。
それでも、気になる。
まだ眠たい目をうっすら開けて開けっぱなしの扉の向こうを見る。
見たところでキッチンが見えることもない。
だけど、幼い日の記憶が蘇ってきた。
こうして寝ている間に昼飯や夕飯の支度をする母の気配が好きだった。
特に夏休みや冬休みのような学校の長期休みの時だ。
深い理由はない。
ただ、隣で弟も寝ていて、それがとてもしあわせだった。
資料も……片づいてる
ベッドから見下ろす床もキャスターで移動出来るものへとかわっていた。
きっと机の上の紙コップやペットボトルも捨ててくれたのだろう。
真面目で律儀な子だ。
けど、今はとても助かる。
もう少しだけ。
もう少しだけ、この夢心地の中を揺蕩っていたい。
そっと目を閉じた。
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