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第29話 死に戻って、愛を掴んだ
「いやぁ、あの日はやばかったね」
媚薬を飲んだ日の夜。あの後はそれはもう性急に抱かれて、抱き潰された。途中は気持ち良すぎて意識が飛んでいたし、なんかいろんなことを喋っていた気がする。
朝になっても起き上がれなかった。腰が砕けるというのはこの事を言うのだと、身をもって実感した瞬間だ。シャルルはあれはやばかったねと笑う。
「あのさ。親睦会から離脱した事情は理解したけど、そこまで話せとは言ってないよね!」
ハルモエール邸の中庭でシャルルはいつものようにユリウスとお茶をしていた。リリアーヌはまだ来ていないのだが、あの後の事を心配していたユリウスに事の顛末をシャルルは話したのだ。
後半からユリウスは顔を真っ赤にさせていたわけだけれど、シャルルは最後まで話しきった。何故ならば――
「龍は体力お化けだから、ユリウスはほんとに気を付けた方がいいよ」
「うぅ……まだ、サジェンタさんとはそんな関係じゃないのにぃ……」
ユリウスはサジェンタを選んだのだ。彼の傍にいるということを決めたということは、いずれはそういった関係になってしまうかもしれないわけで。
経験者でもあるシャルルはあらかじめ教えておこうと思ったのだ。今のうちに知っておけば、覚悟は決められるだろうという優しさからだった。
「シャルルさぁ、自分も好きだって自覚したからって、僕に先輩面するのどうなのさぁ」
「でも、知っておいて損はないだろ?」
「うーーん、まぁ……」
覚悟はできるね。ユリウスはそこを素直に認めた。とはいえ、聞かされる身にもなってほしいと言いたげに見つめられる。そんな彼にシャルルは笑って返すだけだ。
呆れられてしまったけれど、ユリウスは「ありがとう」と助けてくれたことに感謝をしてくれた。
「どういたしまして。薬盛ろうとした令嬢はきっつく叱られたから安心していいよ」
「特定はっや!」
「俺がぶっ倒れていた間にエドゥが全部やってくれてた」
起き上がれずに眠っていた間にエドゥアールヴァレットが全てを終わらせていた。ねっと後ろの方にいた彼に声をかければ、ふむと顎に手をやって意図を読んだように頷かれる。
「君に悪戯をしようとした相手ならもう手は出してこないだろう」
「ありがとうございます」
「気にしなくていい。シャルルの友人なのだから。それに君に何かあれば、理性の効きにくいサジェンタがやらかすだろう」
彼は同じ龍ではあるが、理性が効きにくく、沸点に達すれば何をしでかすか分からない。ルーミアが贄に出された時もだいぶやらかしたようだからと、エドゥアールヴァレットに言われて、ユリウスは「助かりました」と頭を下げる。
「シャルルは何を話していたのだろうか?」
「龍は体力お化けって話」
「あぁ、なるほど」
「伴侶にそれ言うの!」
ユリウスの突っ込みにシャルルは「言うね」と即答する。本当の事だからと。
「本当の事だし」
「シャルルって、好きだと自覚すると素直になるタイプなんだね……」
「そこが愛らしいと私は思っている」
さらりと惚気られてユリウスが「もうお腹いっぱいです」と溜息を吐き出したのと同時に、シャルル自身にも被弾して思わず照れてしまう。
「シャルル、どうかしただろうか?」
「ちょっと不意打ちはやめてほしい」
エドゥアールヴァレットが不思議そうにしているのを横目にそういうところも好きなんだよ。と改めて実感したシャルルだったが、口には出さなかった。
完
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