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第28話 好きと認める*
すっかりと外は夜になっていた。寝室のベッドに寝かされてシャルルは疼く身体に思わず声が出てしまう。
神殿へと帰る最中、馬車の中で訳を話したシャルルだが、エドゥアールヴァレットに「危険な事はしないでほしい」と注意されてしまった。
いくら、毒ではない可能性が高いとはいえ、ないとは限らないのだ。自分に知識があるからといって行動するのは控えてほしい。心配になると言われて、シャルルはその通りだなと思う。
彼は一途に想ってくれているのだから心配して当然なのだ。少しばかり反省するも、やってしまったものはしょうがない。シャルルは疼く身体を堪えながらエドゥアールヴァレットを見つめる。
「これぐらいの症状ならば、私の力で抑えることができる。少し待っていてくれ」
そう言って寝かせてきたエドゥアールヴァレットに「何もしないの?」なんて言葉を零していた。自分でも驚く言動にシャルルは口元を押さえる。
「私はシャルルの同意なく手を出すことはしない。そもそも、薬で判断能力が低下している状態で抱こうとは思わない」
伴侶の身体を労わらないほど落ちぶれてはいない。はっきりと言い切るエドゥアールヴァレットにシャルルはきゅっと胸を押さえる。
どんな状態であっても第一に考えてくれる姿に少しでも疑っていた心が痛む。それと同時に溢れてくる感情に頭が整理できない。
ぼんやりとする中、エドゥアールヴァレットが額に手を触れてきて、シャルルはだんだんと視界が戻っていく感覚を味わう。
『それを利用して気持ちを吐き出してしまいなさい』
風神ラファールの言葉が頭に過った。そういえば、そんなことも言われていたなと。
(気持ち……気持ちか)
自分の気持ちを口にしたことはなかった。今、自分はエドゥアールヴァレットのことをどう思っているのだろうか。
「好き」
ぽろりと口から零れる。額に触れていた手が離れる。戻った視界でシャルルがエドゥアールヴァレットを見遣れば、彼が目を瞬かせていた。
暫しの沈黙。そこで自分の呟いた言葉を思い出してシャルルの顔が赤くなる。
シャルルは黙ったままシーツで顔を隠した。ぽろっと無意識に出ていた言葉だ、これが本心であるのは自分でも分かる。
気恥ずかしい。いや、恥ずかしいことはやってきているのだけれど、それとこれとでは違う。
「シャルル」
声がしても顔を隠していれば、もう一度、呼ばれる。そろりとシーツから顔を覗かせれば、なんとも嬉しそうにしているエドゥアールヴァレットがいた。
「……嬉しそうだね」
「君の言動で本心だと分かっている。伴侶に好意を持たれて嫌だと思うわけもない」
嬉しいと言われると、素直になってみたくなる。だから、シャルルは身体を起こしてエドゥアールヴァレットと向かい合った。
「そ、そりゃ……気持ちが傾けば……その……好きにも、なる」
「……これほどまでに破壊力があるのか、なるほど」
「すごく嬉しいのだけは伝わった、その発言で」
「あぁ、君をこのまま抱いてしまいたいと思うほどには。けれど、治癒を施したとはいえ、本調子ではない状態でそのようなことはしない」
安心して休むといい。額に口づけを落としてエドゥアールヴァレットが離れていく――シャルルは彼の腕を掴んだ。
つい、掴んでしまった。シャルルは思ってしまったのだ、抱かれたいと。
「シャルル」
「だ、抱いてって、言ったら……して、くれるの?」
とてつもなく恥ずかしい。なんだこれは。初めてなわけでもないのに、自分から誘うというのがこれほどまでに恥ずかしいとは思わなかった。
顔がまともに見れずに視線を下に向けていれば、ぐるんと反転する。押し倒されたと分かったのはエドゥアールヴァレットに深い口づけをされたからだ。
「んっ」
舌を絡めとられる口づけに思考が快楽へと変換される。もっとと言うように舌を突き出せば、じゅっと吸われて腰に響く。
食らいつくような少しばかり乱暴さがありながらも、エドゥアールヴァレットの首に腕を回す。
「シャルル、それは私に効くのだが」
「だ、だって……」
唇を解放されて出た言葉にシャルルは仕方ないじゃないかと言ってみる。すると、エドゥアールヴァレットは困ったように眉を下げながらも服を脱がしてくれた。
抱き着いていれば、後孔に指を入れられて解されていく。治癒したばかりとはいえ、少しばかり火照った身体は敏感になっていた。
「そこっ」
気持ちの良い部分を刺激されて、シャルルの陰根が勃ち上がる。三本の指で内壁を弄ばれて、すっかりと感じるようになった身体は反応してしまう。
「え、エドゥ……もう、いいからぁ」
「まだ薬が抜けきれていない、か……仕方ない」
丁寧にほぐされた後孔にエドゥアールヴァレットの陰根があてがわれ、ゆっくりと挿入される。
ごりゅっとしこりを押しつぶされてシャルルの喉が鳴る。ぎゅっとエドゥアールヴァレットに抱き着く力を籠めれば、よしよしと頭を撫でられた。
「性急だったな、すまない」
「んっ。おれが、おねがいっした、から」
エドゥアールヴァレットは悪くないと首を振れば、かぷっと首筋を噛まれて血を吸われる。ちくりとした痛みに意識が一瞬だけ戻るも、奥を突かれて目の前が白んだ。
「あっ、んぅ~~~~っ」
自分から強請ったとはいえ、この性急さは荒っぽくて。それはそれで興奮している自分にシャルルは気づく。
打ち付けられるたびに喘ぐ声が止まらず、気持ち良さに口は緩く開いてしまって抑えることはできない。
抱き着く力を強めるたびによしよしと頭を撫でられると、きゅっと股間に響く。気遣ってくれているというのに、責めるのを止めてはくれない。
「あーーっ、むぃ」
イく、これは来る。シャルルはエドゥアールヴァレットの背に爪を立てた。
「っ~~~~――――っん」
目の前に火花が散る、ばちっと。中を突かれてどぴゅっと勢いよく射精して、空気が一瞬だけ吸えなくなる。
はぁっと吸えるようになってから顔を上げれば、なんと悩ましげなエドゥアールヴァレットと目が合った。
そういえば、いつもならこのまま責められるのにとぼーっとする頭で不思議に思う、
「ど、どうした、のさ?」
「いや……このままだと私は加減ができそうにないと思ったんだ」
エドゥアールヴァレット自身もこの性急で荒っぽい感覚に興奮していた。とはいえ、理性は残っていて加減をしなければ、シャルルが潰してしまうのも分かっている。
なんと悩ましげにしているエドゥアールヴァレットに、優しいよなとシャルルは緩く笑みを見せた。
「俺、エドゥほどじゃないけど、体格は悪くないほうだよ」
「しかし……」
「エドゥが好きだから、続けたい」
駄目? と上目遣いで問えば、エドゥアールヴァレットが深く息を吐き出した。それは反則だろうと言いたげに。
抱き着いていた身体をベッドに寝かされて彼の顔を見れば、後悔しないようにと唇を塞がれる。
(あー、これはやってしまったかもしれない)
明日の朝、自分は起きられるだろうか。なんて心配も、押し寄せる快楽によって霧散する。明日は明日の自分に任せよう。
シャルルはそう決めて、快楽の波へと身を落とした。
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