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SS・翌朝(フミオ視点)

タクミの目覚まし時計が鳴る前に、パチリと目が覚めた。 ぐるりと天井を見渡し、自分に居場所ができたことを噛みしめ、幸せな気分になる。 昨晩、川沿いを散歩しながらタクミが「もう一組布団を買わないとな」と言っていた。 でも僕は、このまま一つのお布団があれば、十分だと思う。 隣で眠るタクミの顔を覗き込み、最近よくなる胸がギュッとする気持ちを味わってから、布団を出た。 できるだけ音を立てないように畳の部屋を出て、キッチンで薬缶のお湯を沸かす。 ここに来てから、タクミがするのを毎朝見ていたから、作業の順番は間違わない。 お湯が沸騰したら火を弱めて、麦茶のパックを一つ入れる。 そして、キッチンの砂時計をひっくり返す。 砂が全部落ちるまでの間に、洗面所で顔を洗った。 そのとき、洗面所に置いてあるタオルを新しいものに取り替えるのも忘れない。 そして砂が全部落ちたらコンロの火を止め、蒸らすために、また砂時計をひっくり返す。 畳の部屋から、タクミの目覚まし時計が鳴る音が聞こえる。 僕が朝の仕事を少しだけどしておいたから、その分、ゆっくり眠れればいい。 「フミオ?フミオ?」 そう思ったのに、タクミはボサボサの頭のまま慌てたようにキッチンへやってくる。 「なんだ、よかった。ここにいたのか」 「うん。おはよう!」 砂時計の砂が全部落ちたから、菜箸で薬缶から麦茶のパックを取り出す。 「あのね。もう僕はお客さんじゃないでしょ。だから、麦茶は僕が作るし、トーストも僕が焼くよ」 「……そうか」 タクミは、僕に麦茶を作ってもらったのが余程うれしかったのか、また強く強く抱きしめてくれる。 僕の胸は、またギュッと苦しくなった。

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