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第10話 下半身の友達に
い、今、瑆 さん、なんて言いました?
お、俺の童貞?
瑆さんは楽しそうに俺のズボンのベルトを外し始めた。
俺は頭の処理が追いついてない。
確かに、俺は童貞ですよ。
でもその、別に三上さんとスるとかじゃないし。
ままま、まあこのまま女の子と付き合うことになると、いつかはそういうことになるかもしれないけども。
で?
え?
瑆さんが貰うって。
するすると降ろされたズボンの下の下着の上から、もにもにとまだ柔らかいペニスを揉まれて、ぎょっとした。
そ、それって瑆さんとスるってこと⁉︎
「ちょ、ちょっと瑆さん⁉︎待って!」
「大丈夫、ちゃんと気持ちよくしてあげるから」
鼻歌が聞こえてきそうなほどの上機嫌で瑆さんが俺のペニスを揉む。
あいにく、俺はそれどころではない。
「そ、それは、あの、ダメだと思うんですよ⁉︎」
「なんで?」
反応しない俺のペニスにちょっと眉を寄せて、瑆さんは下着を下ろし始める。
ここまではいつもと変わらないんだけども。
「いや、だって」
「ちゃんと出来るし、問題ないよ」
「それは、そうかもしれませんが」
どの辺が問題ないって?
俺には大ありですっ!
直に触れられると、瑆さんの愛撫に慣れきったペニスが首をもたげ始める。
瑆さんの手を除けようとした俺を、ぺん、と叩かれる。
「邪魔しちゃダメ」
邪魔とかではなくてっ。
俺を見上げながら、ぺろりと上唇を舐める。
さっきまであんなに不機嫌そうだったのに。
「良くんは何もしなくていいよ。ただ勃ててくれればいいからね」
手で扱かれ、さらに舌先で突くように始めた瑆さんに、俺はだんだん力を奪われていく。
「…くっ、そぉ…」
上手いとか下手とか俺にはわからないけれど、気持ちいいから上手いんだと思う。
先端とか歯茎にぐりぐりされるとやばいし、根元から舐め上げてきながら俺を見上げてくる視線もやばい。
やばいことだらけで、もう、だめ、だ。
俺、ほんと、弱くなった、気がする。
てか。もともと堪え性ないかもしれないけども。
「…瑆、さん、もう…」
俺が訴えると、口を話した瑆さんがにやにや笑う。
「しょうがないなあ。挿れる前に一回抜いとこうか」
え?
いれる?
さ、っきのやっぱ本気で?
ちょ、ちょっと、待って。
慌てる内心とは裏腹に、空気ごと瑆さんの口に含まれ、唇で扱かれている俺の欲望はあっけなく頂点へ達した。
いつも通り口の中で俺の精液を受け止めた瑆さんは、今回は飲み込まず、そのまま手の平にだらりと吐き出す。
その姿があまりにも淫猥で。
迂闊にも俺はまた勃起させてしまった。
瑆さんはそれを見て驚くどころか、にやりと口端を上げる。
手の平に吐き出した俺の精液を俺のペニスに塗りこむようにしながら、ズボンを脱ぎ始めた。
え、まじ⁈
露わになってくる太腿に視線を奪われ、思わずごくりと喉がなる。
両足から抜かれたズボンはそのまま瑆さんの足元で丸まった。
ただ脱ぎ捨てられただけだし、俺だって脱ぎ捨てる時はあるし、大して珍しくもない光景がなぜだかエロく、やらしく見えて。
俺は動けなかった。
瑆さんの宣言通りこれから起こる事を思うと、なぜだか胸が高鳴る。
俺の心情なんて察してもくれない瑆さんは目の前で下着を下ろし始める。
着たままのシャツの下に剥き出しになっていく白い脚。
シャツの下から、と言うのが妙に艶かしい。
瑆さんの口元は緩み、笑みさえ浮かべている。
挑発するような上目遣いから目が離せず。
瑆さんの手に宥められていきり立ったままのペニスの先端が、腰に跨ってきた瑆さんの奥に触れて、俺はやっと動いた。
「ちょ、瑆さんっ」
今にも落ちてきそうな小さな腰を掴む。
このまま瑆さんとシたら、瑆さんの下半身の友達になっちまう。
それは嫌だ!
瑆さんとスるのが嫌か、と聞かれたら、違う、と思う。
でも下半身の友達にされるのは嫌なんだ。
今までと何が違うかは正直わからないけれど。
俺の静止に瑆さんが思いっきり眉を寄せた。
泣きそうにも見える。
「…なんで…?」
小さく呟いた瑆さんに、俺は必死で言い訳を探した。
「いや、だって」
男同士だからってのは多分、瑆さんにも俺にも通用しない言い訳だ。
瑆さんが完全に男しか性対象にならないかは正直知らないけれど、少なくとも俺は瑆さん以外の男にペニスを触られるなんて想像だけで虫酸が走る。
その俺が今までずっと瑆さんを許容しきている。
今更一歩進もうが何も変わらないかもしれない。
でも一方的にフェラされるのと、挿入し繋がるのは大きな違いがある、と俺は思う。
戻れなくなる。
絶対に。
「こんなの」
瑆さんが、俯きながら小さく言う。
「気持ちよければ何も関係ないよ」
瑆さん?
本当にそう思ってるんですか?
俺には、そうは聞こえないけど。
瑆さんの様子に怯んだ隙に、小さな腰がゆっくり落ちてきた。
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