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第21話 賢者タイムに思うことは

理性がぶっ飛んだ俺は結局、そのまま2R突入。 3Rは…あれ? どれだけ盛ったか、わからない。 とにかくやっと訪れた賢者タイム。 仰向けに天井を見上げながら、息を喘がせ。 我ながら盛りすぎたと反省中。 止まらなかった。 初めて見る瑆さんの表情とか、素肌とか。 イく直前涙いっぱい溜めてる顔はもう、今後も俺のオカズになること間違いなし。 そんな俺の隣で横向きになった瑆さんの手が俺の腕とか摩ってる。 同じようにいきを喘がせて、目をしぱしぱさせてる。 眠いのかな? 声をかけようとした俺に、瑆さんがにっこり笑った。 「…良くん、凄いね…」 うっとりした顔で瑆さんが言う。 ちょっと、照れる。 な、何が、そんなに凄かったんだろう? 盛りすぎた? あ、乱暴だった? 途中からもう瑆さんへの気遣いなんか出来なくて、がつがつしてたと思う。 な、んか、恥ずかしい。 経験値の差が出た感じ。 「…すごかったぁ…」 満足げに呟くと、頭を肩口に擦り寄せてきた。 満足して貰えたなら、いい、かな。 はあ、疲れた。 このまま寝そう…。 「…ねえ?良くん…」 「はい」 ちょっと微睡みながら瑆さんの声を聞く。 瑆さんの声もなんだかふわふわ、というかぼんやりしてる。 「…また、してくれる?…」 ん? 「今までも、してましたよね?」 寝落ちしそうだった意識を奮い立たせて、瑆さんを見下ろす。 「じゃなくて」 小さくぷるぷる瑆さんが頭を振ると、髪が素肌の肩口を掠めてくすぐったい。 は? 何が言いたいのか、わからないんですけど。 「…その、良くんが、…抱いてくれる?」 ん? いや、今までも…。 俺の疑問を察したのか、ちょっと顔を赤くした瑆さんは俺の胸に顔を伏せた。 「僕が、する、んじゃなくて…、良くんが、…して…くれる?」 何が、違うんだろう? ちょっと、わかんないけど。 「瑆さんが嫌じゃなければ」 とりあえずそう答えると、ぎゅっと抱き締められる。 「嫌じゃないよ」 要するに今日みたいな感じでこれからすればいい、ってことだよな。 「じゃあ、はい、です」 すりっと頭を擦り寄せて小さな呟きを零す。 「…うれしい…」 きゅっと俺の胸あたりに置いた手に力が入ったのがわかった。 今日、みたいに…。 違い、は確かにあるんだけど。 主に俺的な理由で。 今日の俺は下克上目的で、瑆さんにいつもある主導権を俺が握ることにあった。 実際、なんとか主導権を握ることができたし。 これからも主導権を握っていればいい、ってことだよな。 でも。 瑆さん的には何が違うんですか? 俺が主導権を握ることによって、瑆さん的に何が変わるんですか? 非常に聞きたいけど、聞いてはいけない気もして。 結局、俺は聞かないことにした。 そしてそれを条件に、今後他のせフレと会わないとか、セックスしないとか約束せることもできたはずなのに、俺はあえてしなかった。 そう思うのは俺のエゴ。 瑆さんはそういう奔放さも含めてこそ、瑆さんだと思う。 俺のエゴを押し付けることによって瑆さんが変わってしまうのは嫌だった。 かといって、俺とせフレ達と同時進行されるのも嫌なんだけど。 そして、俺がそんなことを考えているのを瑆さんに知られるのも嫌、なんだ。 俺だって、瑆さんに嫌われたくない。 今も俺を見上げてにっこり微笑んでる瑆さんが、急に俺に対して笑わなくなったら? 今までそんなことは一度も起こってないだけに、俺へのダメージは計り知れない。 けど、嫌だ、とわがままを言えば瑆さんが「しょうがないなぁ」と許してくれそうな気もする。 試す勇気はないけれど。 瑆さんが体勢を変え、肩口に顔を埋めてしまった。 俺からは表情が見えなくなる。 「眠い、ですか」 「…うん、ちょっと眠らせてね」 それから規則正しい息遣いが聞こえ始めた。 もう寝た? 早いな。 ふとある想像が俺の頭を過った この伏せた顔がもし、ほくそ笑んでいたとしたら? 俺がまんまと手中に落ちた、と。 全てが瑆さんの思惑通り、俺が術中にハマっていたとしたら? そんな怖い考えが浮かんで。 だって俺は結局瑆さんを把握できてない。 振り回されるばかりで。 どこからどこまでが瑆さんの企てなのか。 全部か、それとも全然か。 ………。 怖いから考えるのやめよう。 内心、俺のただの想像でありますように、と祈りながら、俺も瑆さんの頭にすり寄せるようにして眠りに落ちた。 ~~~必要ないだろう、あとがき~~~~ ここまで読んでくださって有難うございますm(_ _)m 「高校生編」はこれにて終了します。 まだまだ始まったばかりの2人。 この後「受験生編」へ突入! 受験生ならではの問題を抱えつつ、想いを育んで行けるのでしょうか。 ちょっとのお休みを貰いましてまた連載開始します。 【予告…というか受験生編の作品紹介】 「受験を目前にして、俺は禁欲中。なのに瑆さんは…。 許せないので、乱暴にしていいですか?返事はいいですよ、どっちでも一緒ですからね。 じゃ、覚悟はいいですか?ああ、これも返事は結構です。」 また読んでくださると大変励みになり、筆も進みます! ではまた!

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