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第2話 陽一サイド<生家完成>
颯太の生家がようやく1年2カ月かけて完成した。
家を明け渡す時には、2トントラック12台分もの荷物を処分した。
それが近所中の注目を浴びたらしい。
まるで大会社の引っ越しのようだったから、ご近所をお騒がせしたと思う。
ようやく出来た生家。
ご披露すると、
●生家
●隣接した蔵(中身は収納済)
●SP待機小屋(シャワー・台所付)
●家を囲む塀(ジグザクでへこんだ所には、裏も表も植栽)
●家の前面に車15台分の駐車場
SP小屋は、外観がかわいい。
生家の外観と同じ青が入った紺色の外壁に窓枠が白。
白いレースのカーテンまである。
窓枠の下には赤いゼラニウムの鉢植えがある。
屋根はグレーの仕様になっている。出入り口もかわいい。
とてもSPの待機所には見えない。
SP達は「やっと快適になった」とばかりにニヤニヤと喜んでいた。
つい満足げに眺めてしまう。
「先生、忙しいんだから早く手伝ってよ」
両手を腰にあてて、颯太が呆れたようにため息をつく。
「よっしゃー」
俺も掛け声ばかりは威勢よく返すが、気持ちの割には身体が動かない。
颯太は今年大学を卒業して、音楽活動に専念している。
今は作業着を着て、首にタオルを巻き、頭にもすっぽりとタオルをかぶった上にマスク姿だ。
見た目はすごく働く職人さんのようだ。
「颯太、その作業着はどうしたの?」
「これは小林さんに作業着の専門店で買ってきてもらったんだよ。
これからガーデンの作業を増えて来るって言われてさ」
「ふ~ん、そうなんだ」
今後の覚悟がうれしくもあり、頼もしくもありだ。
荷物のほとんどは引っ越し屋さんに頼んで移動してもらった。
本当にありがたいのが、この家にあるホームエレベーターだ。
1階から3階の屋根裏までスムーズに行き来できるため、大きな荷物も楽勝だ。
自分の体力を知っているから、これは絶対譲れない条件だった。
何しろ、倒れた颯太を抱いて2階に上がれない。
これが一番の理由。
颯太には見栄を張りたいから内緒……。
新たに購入した家具や家電は昨日あらかじめ設置してもらっていた。
今日は、今までの家財道具や衣類、台所用品、食器、自分の書斎用荷物などだ。
これでも仮住まい中に減らした。
「先生、俺もう疲れた。この台所用品は、適当に片づけてほしいよ」と颯太。
ダンボールの山を前にして、颯太が早くも大きく息を切らせている。
ダンスの練習であれほど鍛えているのに、こういう片付けは始める前からやる気をなくすらしい。
「うん、わかった。じゃあ、まずは5分休んで」
そう言って苦笑いを浮かべる。
たった5分と区切るのが、動かすためのミソなのだ。
陽菜ちゃんは4か月にも及ぶ入院生活を終えて、ようやく立花家に来た。
その後1か月ほど自宅療養をして、今は里奈ちゃんと一緒に同じ通信の高校に通っている。
1階で頑張っている人は、
●碧人君
●里奈ちゃん
●陽菜ちゃん
各自室の荷ほどき。
●小林さん
自分の個室と執務室の整理。
●横山さん
ダンボールの移動や空箱の整理・植栽の水やり
●家政婦さん4人
台所や洗面所、ランドリー、
トイレ、玄関、シューズクロークを整える。
造り付け収納が十分にあるので、驚くほどすっきり片づく。
「颯太、ダンボールは畳んでまとめて玄関前に出してよ。あとで引っ越し屋さんが取りに来てくれるからね」
「は~い」
休憩から戻ってきた颯太に、俺は軽く釘を刺しておく。
今度こそ、物があふれないすっきりとした暮らしを維持するぞ。
……とはいえ、1階の多すぎる食器類が問題だ。
しかし目に入れなかったことにしよう。
でもそのうちに「屋根裏にしまいたい」__なんて言うんだろうなあ。
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