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第3話 陽一サイド<生家の完成・2>
やはり新しい家電って何回見てもいい。
冷蔵庫は壁面の収納家具と完全に一体化している。
どれが冷蔵庫なのか迷いそうだ。
便利そうなのは、
ランドリー専用部屋だ。
●大型の洗濯機
●業務用の洗濯から乾燥までする大型の洗濯乾燥機
●アイロンコーナー
●流し台
●物干し
●部屋全体の換気や乾燥システム
●戸棚
ここは浴室の横にある。
効率が良さそうだ。
そろそろお昼時、今日のメニューは引っ越しそばだと良子さんが腕を振るってくれている。
台所のすぐ横には大きなパントリー。
●菜の花フーズから届く業務用の食材をストックする。
もちろんここにも大型の冷蔵庫や冷凍庫が完備。
「さあさ、皆さん、お昼にしましょう!」
インターホンから家中のスピーカーを通じて2階にまで響き渡る。
ダイニングテーブルは特注の伸長式にしてもらった。
20人は大丈夫だ。
椅子はスタッキング(積み重ね)ができるタイプ。
ひじ掛けが付き、座面は扱いやすいビニールレザー製。
汚しても拭き取れるし、座面の張り替えも出来る。
「今日はおそばと温かい天つゆ、そして天ぷらも菜の花フーズの業務用をご用意しました。お味はどうですか?」
テーブルを囲みながら、良子さんが期待を込めた目で尋ねる。
どんぶりでつゆそばや、ザルそばにしたり、皆好きなようにして食べている。
「うん、美味しいよ。これから財団で出す味の試作品も兼ねているんだから、ちょうどいいんじゃないかな」と俺。
隣で陽菜ちゃんがパッと顔を輝かせた。
「わ~、おいしそう! 私、おそば大好きなんです」
「腹減ったー!」
声を大にして叫んだのは碧人君だ。
今回の引っ越しでも一番の働きぶりを見せてくれている。
若いだけあって身体のキレが良く、動きが本当に素早い。
こんな優秀な青年を、いち早く財団のスタッフとしてスカウトした俺は偉い!
これからも財団の専属トレーナーとして大いに活躍してほしい逸材だ。
だからこそ日々の食事などは、家政婦さんたちに少しでも楽ができるようにして、負担を減らしてあげたいところだ。
そのための「菜の花フーズ」の業務用食材だ。
しっかり吟味してあって、安心して利用できる。
「ふう……若いふりをして格好だけは整えてみたものの、中身はどうにも隠せない歳ですよ……」
額の汗をタオルで拭いながら、小林さんが冗談めかして苦笑する。
でもその言葉に、周囲のメンバーからクスクスと温かい笑い声が広がった。
まあ、それはこっちも同じなんだけどさ。
「皆さんの片づけの進捗状況はどうですか?」
俺がそう尋ねると、みんなが次々に報告を始めた。
「俺は周囲の片づけが終わったら、夜にでもゆっくり自室の整理をします。とりあえず荷物は全部部屋に運びました」と碧人君。
「はーい! 私は全部自室に運んで、大体収まった感じです」と里奈ちゃん。
「私も同じです。大体収まりました」と陽菜ちゃん。
「いや~、私はまだまだですねえ。
おそらく細かく仕分けするのにあと2日はかかります」と小林さん。
「台所用品は収めました。
しかし、食器を並べるのがまだですね。
それとしまい方の調整も。多分、明日まではかかると思います」と由紀さん。
「シューズクロークは大体できました。
それぞれの場所に名札を貼っていますから、あとは皆さん自分でやってくださいね」とマツさん。
「洗面所、浴室、トイレ、ランドリーはすべてできました。
あとはリネンの整理にまだ少し時間がかかります」と良子さん。
「パントリーの整理は大体できました。
でも、冷蔵庫や冷凍庫はもっと収納の工夫が必要な気がします」と真知子さん。
「新しく植えた植栽の手入れは、植えたばかりなのでしばらく水やりなど、様子を見たほうが良いように思います。あと、段ボールなどは私にください。畳んでまとめておきますから」と横森さん。
うんうんと楽しく聞いていた俺に、なぜか一斉に視線が向けられた。
あ、しまった。俺の番だ。
「ええっと、こっちはまだまだですね。
台所用品はしまったのですが、食器がまだだし、洋服もあるので明日までかかります」
へへへ……と、思わずごまかし笑いをしてしまった。
ふと颯太を見ると、まるで他人事のようなのんきな顔をしている。
「ねえ、颯太はもうできたの?」
「うん、自分の荷物はもうしまったよ」
かわいい眼差しで俺を見た。
「…………?」
そのあっけらかんとした返事に、また皆のほうからクスクスと笑い声が漏れたのだった。
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