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ままがベッドに座った隙を逃さず、その膝上に乗って描いた絵を誇らしげに見ていた。 そんな幸せなひと時は、"あんの"がやってきたことですぐに終わってしまった。 「姫宮様、御月堂様がいらっしゃいましたよ」 なんで、あいつがやって来たんだ。ままと二人きりで楽しくしていたのに! 眉間に皺を寄せ不機嫌を露わにしていると"みつきどう"がやってきた。 そして、驚かされることになった。 その手に持っていたのは──。 「慶様、持っているものはもしかしてカーネーションですか?」 「ああ、少しばかり遅れてしまったが、母親としての役目を全うしている、その労いだ」 ままのそばに寄って来たやつは、バスケットに入っているそれをままに渡す。 「⋯⋯慶様から頂けるとは思いませんでした。とても嬉しいです。ありがとうございます」 絵をあげた時とは違う、頬を染め、目をきらきらとさせている心から嬉しそうな顔。 そんな風に見えた瞬間、ショックを受けた。そしてどんどん怒りが湧いてきた。 こんなやつがあげなければ、ままは似顔絵でにこにこしていたのに! なんであげちゃうんだ! 「綺麗だね、大河。⋯⋯大河⋯⋯?」 どうしたの、と小首を傾げてみせたままは何か分かったように小さくあ、と声を上げた。 「あ、あ、大河っ、もちろん大河が描いてくれた似顔絵は大切だし、とても嬉しかったし、一番だよっ。でも、慶様がくださった物も嬉しかった、んだけど⋯⋯っ」 弁明しようとしてワタワタしているが可愛い。 ちょっと許したくなったけれど、あいつがいる前ではそんな態度を見せたくない。 わざとツーンとした態度をして、ままを困らせてしまっていると「私が機嫌を損ねることをしてしまったようだな」と言うのを、「そんなわけでは⋯⋯」と気遣うままを見て、決心した。 次こそは何がなんでもカーネーションを買う!

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