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第43話
四月、街は新入や進学で賑わっていた。
今日は大学の入学式で、あと一時間で式が始まる。
なのに、入学式に出るはずの碧は未だベッドの中。
昨夜、一希と散々求め合ったあと、眠りに着いたのは朝方のこと。
明日は入学式だから、と言ったのに、結局は一希に流されてシてしまったのだ。
「ん~…起きなきゃ…」
隣を見れば、一希はまだ眠っていて、幸せそうな寝顔に頬を緩めてしまう。
だが、すぐに入学式のことを思い出し、慌ててベッドから飛び起きる。
本来ならシャワーを浴びたいところだが、生憎そんな時間はないので、身支度を整えて家を飛び出した。
「やばっ…もう時間ない…っ」
いくら大学から近いところに住んでいるとはいえ、走っても三十分弱はかかってしまう。
これではとても間に合いそうになかった。
碧は諦めて歩みを遅める。
その時、後ろからクラクションが聞こえて振り向いた。
視線の先には見慣れた車と、それを運転している恋人の姿。
さっきまで寝ていたはずなのに、と首を傾げるが、今はそれどころではない。
「遅刻したらいけないから、早く乗りなさい」
「ぁ、うん。ありがと、一希」
今では素直に呼べるようになった彼の名前。
数ヶ月前の自分からしたら、考えられないようなことだ。
慌てて一希の車に乗り込み、大学へと向かう。
「僕が家出た時、一希まだ寝てなかった?」
「あぁ。碧がゴソゴソやってる時に起きたんだ。昨夜は激しくし過ぎたからね、碧が起きれなかったのも仕方ないよ。この遅刻しそうな状況なら、碧は必ず俺を頼ってくると思ったんだけど…さっさと出ていっちゃったから、慌てて追ってきたんだよ」
そうだったのか、と呟けば、一希が小さな笑みをこぼした。
試されたというのが少し悔しいが、昨夜の行為は格別に気持ちよかったので、そのことは水に流そう、と碧はぼんやり考えていく。
「そうそう、例の見合いの話だけど、あのあともしつこく電話してきてたのは知ってるだろ? でも、母さん…ようやく諦めてくれたよ」
「ぇ? ほんと?」
正直、一緒に暮らしだしてからも見合いの件は碧も気にしていた。
いつか一希が折れて見合いを受け入れたらどうしよう、なんて考えたこともあり、見合い話がほんとになくなって、ほっとする。
「一希…僕、一希が大好きだから」
「どうした? 急に」
やっと肩の荷が降りて、急に気持ちを伝えたくなったのだが、一希からしてみれば、あまりに急な告白に、少々戸惑っているようだ。
それでも愛しい人からの告白は嬉しいに決まっていて、やんわりと頬を緩めた。
END
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