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第11話
それから俺は必死に勉強した。
魅琴と遊ぶために。
たったそれだけの理由なのに、不思議なくらい勉強が捗る。
魅琴が笑いながら言った。
『またブッチしなければ、いいですよ。』
冗談みたいに笑っていた。
でもあの笑顔の奥には、少しだけ寂しさがあった。
ホームで目が合った時の、あの表情。
俺から目を逸らした姿。
きっと、傷つけた。
もう二度と、魅琴にあんな顔はさせたくない。
だから今度こそ約束を守る。
魅琴と遊ぶ。
そのためなら勉強くらい、いくらでも頑張れる。
放課後。
「なーりた!」
教室を出ようとすると、友達が肩を組んできた。
「カラオケ行かね?」
「無理、パス。」
「またー? 最近ずっと断ってんじゃん。」
「悪い。」
「いつ遊べんだよ。」
「……当分無理。」
「えーー。」
友達は大袈裟に肩を落とした。
「最近冷たくね?」
「……お前らのせいで俺のご褒美消えたからだよ。」
「……は?」
友達全員が固まる。
「ご褒美?」
「何それ。」
「え、お前何言ってんの?」
「秘密。」
俺は鞄を肩に掛け直す。
「じゃ、お先。」
「ちょ、待て待て!」
「ご褒美って何だよ!」
「説明しろー!」
後ろから騒ぐ声が聞こえる。
でも振り返らずに歩き出した。
今度こそ。
今度こそ魅琴との約束を守る。
もう、あんな寂しそうな笑い方はさせたくないから。
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