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第10話

ふと、一緒にテスト勉強をしていた頃を思い出した。 問題集を片手に考え込む先輩。 分かりやすく教えようと何度も言い回しを変えてくれたこと。 そんな姿が好きだった。 思わず口が動く。 「先輩が勉強してる姿、好きでしたけどね。」 「……え?」 しまった。 口が滑った。 「なんでもないです。」 慌てて誤魔化すと、先輩は少しだけ不思議そうな顔をした。 「そっか。」 少しの沈黙が流れる。 「んじゃさ。」 「?」 「今回のテストがいい感じだったら、今度遊んでくれる?」 突然の誘いに思わず先輩を見る。 嬉しいはずなのに、ホームでの出来事が頭をよぎった。 あの日、先輩は友達に囲まれて、俺は一人で電車に乗った。 だから思わず笑ってしまう。 「……またブッチしなければ、いいですよ。」 冗談のつもりだった。 でも先輩はすぐに表情を変えた。 「ほんと、それはないようにするから。」 慌てたようにそう言う先輩を見て、少しだけ胸が痛くなる。 責めたかったわけじゃない。 ただ、あの日のことを忘れられなかっただけなんだ。

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