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第16話

放課後。 図書室へ向かうと、先輩はもう待っていた。 「こっち。」 向かいではなく、自分の隣を軽く叩く。 「……失礼します。」 言われるまま隣へ座ると、先輩は鞄から何枚かの紙を取り出した。 「んじゃ、テスト結果ね。」 一枚。 また一枚。 俺の前へ並べられていく。 思わず目を見開く。 どの教科も平均点を大きく上回っていた。 しかも、高得点ばかり。 「……すご。」 思わず声が漏れる。 先輩は照れくさそうに頭を掻いた。 「頑張ったから。」 そして嬉しそうに笑う。 「これで約束果たせるね。」 その笑顔を見て、俺まで少し笑ってしまう。 「でも俺、そんなに服持ってなくて……。」 遊びに行くことより、そっちの方が気になった。 すると先輩は一瞬きょとんとしたあと、くすっと笑った。 「魅琴。」 「はい?」 「俺、一日だけとは言ってないよね?」 「……え?」 先輩はいたずらが成功した子どもみたいに笑う。 「まず服を買いに行く日。」 指を一本立てる。 「その服を着て遊びに行く日。」 もう一本立てる。 「だから二日。」 思考が止まる。 「……二日?」 「うん。」 「え。」 「嫌?」 首を横に振る。 嫌じゃない。 嫌なわけがない。 ただ。 「そんな予定だと思ってなかっただけです……。」 先輩は満足そうに笑った。 「楽しみだな、魅琴とのお出かけ。」 その一言だけで胸が熱くなる。 また期待してしまう。 でも今だけは、その期待を止められなかった。 「……どこ行くんですか?」 恐る恐る聞くと、先輩は少し考えるふりをしてから笑った。 「ん?」 「内緒。」 その笑顔を見て、俺は小さくため息をついた。 きっと今日の帰り道は、この"内緒"の意味ばかり考えてしまうんだろう。

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