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第29話

夜九時を回った頃、信太はベッドで寝息を立て始めた。 今日は割と素直に寝てくれたな、と宏太は笑みをこぼす。 信太が起きないようにそっと電気を消し、鍵と携帯だけを持って家を出て行った。 もう通い慣れた道を行き、大悟の家のインターフォンを鳴らす。 ずっと待っていてくれたのだろう、ドアはすぐに開けられた。 「信太くん、寝たの?」 「うん、今日はすんなり寝てくれたから良かったよ」 「そっか。あ、入って」 玄関で軽く会話を交わしたあと、室内へと招き入れられた。 見慣れたソファに腰かければ、キッチンから暖かいココアを持ってきた大悟が隣にやってきた。 「はい、ココア」 「ありがとう」 夜で少し冷えた体はココアによって中から温められていく。 「…昨日は…ごめん」 「いや、気にしてないよ。こっちこそ、辛いこと話させたな、って思ってた。朝も言ったように、まだ抱えてることあったら言ってほしい。僕でよければ、なんでも甘えて欲しいから」 「ううん、もう大丈夫。大悟のおかげで気持ちが楽になったよ。俺も誰かに甘えてもいいんだ、って気づいた。そんなこと思わせてくれたの大悟だけだよ」

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