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第28話

朝、目が覚めると、昨夜遅く寝たことが祟ったのか、なかなか眠気が取れなかった。 無理矢理ベッドを起き出して顔を洗いに洗面所まで行くと、鏡に映った自分の顔に苦笑してしまう。 昨夜あれだけ泣いたから仕方ないが、目元が真っ赤になっていた。 それをなんとかしようと、冷たい水で何度も顔を洗う。 「にいに? おはよ」 「あぁ、信太。おはよ。ほら、顔洗って」 「うん」 信太が顔を洗っている間に制服に着替え、朝食の準備を始める。 今日、大悟に会ったらどんな顔をしよう、と少し気が重くなるが、信太を保育園に行かせないわけにもいかず、余計なことを考えないようにして家を出る支度を済ませた。 頭でいろいろと考えているうちに、足は確実に保育園へと進んでいた。 敷地内へと進んでいくと、信太がいち早く駆け出していく。 「大悟先生!」 「あ、こら! 信太。勝手に走って行くな」 大悟を見つけて一目散に掛けて行く信太の後ろ姿を追いかけながら、もう保育園の中だし、このまま帰ってもいいかもしれない、という思いが湧き上がってくる。 それでも結局、足は前へと進んで行ってしまう。 「ぁ…おはよう…ございます」 「…うん、おはよう」 誰が見てもぎこちない挨拶に、つい自分達でも笑みがこぼれてきた。 「あの…昨夜は…勝手に飛び出して…ごめん」 「いや…僕の方こそ…言いづらいことまで言わせて…ごめんね」 互いに謝る姿に、また笑みがこぼれ落ちてしまう。 「あのさ…よかったら…今夜、うちに来ない? もし、まだ抱えてて辛いものがあるなら、いくらでも聞くから」 それは大悟から差し出された優しさだった。 宏太は必ず行く、と約束をして保育園を後にした──。

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