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[終]冴島 航(さえじま わたる)視点2
普段からバイトで鍛えられた木田の背中は、広いっつーか、分厚かった。
なんか俺と違って筋肉一つ一つに厚みがあるんだよな。
やっぱ実用的な筋肉ってのは違うんだなぁなんて思いながら、俺は木田の無駄のない筋肉を一つずつ確かめるように指を這わせてゆく。
キトのようなツルツルの薄皮みたいな肌にも、異種族ならではの魅力があるが、木田の適度な弾力を感じる肌は、人間らしい魅力に溢れていた。
そんな背を揺らしながら夢中で腕の中のキトを貪る木田は、いつもの冷静で無害そうな様子とは一味違う、じっとりした雄らしさを漂わせていた。
「キト……」
木田の低い声がいつもよりもさらに低く、腕の中に抱き込んだキトの頭上からキトへと注がれる。
するとキトも懸命に木田の名を呼び返す。
「ぅあ、ぁっ、きだ、きだ、んっ、んんっ」
コイツら仲良いよなぁ。
んー……。
コイツらって、これを機に付き合い出したりとか……、そーゆー可能性、あったりすんのかなぁ?
何となく、中学の頃に女2男3で仲の良かったグループで、気づけば俺以外がカップルになっていた記憶が頭を掠める。
『えっ、何でお前らばっか……?』
思わず尋ねた俺に、女子達は『冴島くんは彼女だけを大事にしてくれなさそうだからねー』『ねー』と声を揃えた。
『俺、彼女だって友達だって、皆ちゃんと大事にするって』
そう答えた俺に、友達は4人揃ってそういう所がダメなんだと言った。
んなこと言われてもな。
彼女じゃなくても、可愛い子は可愛いし、触りたくなんじゃん。
毎日ずっと同じ子と一緒だと、やっぱどーしたって飽きてくんだろ?
そんな風に中高を過ごして、何度も修羅場を経験して、俺は理解した。
俺に『彼氏』とか『彼女』ってやつは向いてない。
俺がどんだけ大事にしてるつもりでも、結局は相手を泣かせちまう。
だから、大学では一度もそういう『特定の相手』は作らなかったし、そのおかげで修羅場になる頻度も格段に減った。
……ゼロにはできてないが。
こっちがどんだけ予防線張っても、なんか勝手に盛り上がって、他の奴と勝手にバチバチする奴が時々いんだよな……。
そんなわけで、交友関係は広く浅く。
遊ぶ友達も毎回入れ替わりで……。
そんな中、2年もの間、毎日一緒に飯を食ってくれてたコイツらは、俺にとって特別な相手だったんだけどな……。
さっきイったせいで、キトとヤりたいってのでいっぱいになってた頭がちょっと冷えたのか、俺は今更ながらにちょっとだけ後悔していた。
いや別に、ヤった事自体は後悔してねーけどさ。
キトも木田も良さそうにしてくれてっし、色んな顔見れて楽しいし。
けど……。
この後……、二人と一緒に昼飯食えなくなったら、ヤダなって……。
「あっ、だめ、だめそこ、ぅあ、ぁぁあんっ」
木田に繰り返し揺さぶられてとろとろになってきたキトが真っ赤な頬で首を振る。
あーー……、キトすーげぇ可愛い……。
次、俺にもう一回やらせてくれっかなぁ?
いやでもキトは初めてなんだしな、流石にそろそろ穴も擦れて赤くなってんだろーな……。
「冴島、キトを押し倒していいか?」
木田に尋ねられて、俺は答える。
「ああ、もう大丈夫だろ。けどあんま激しくしてやんなよ」
「わかった」
俺は木田が動きやすいように二人から離れる。
ベッドから一人降りると、胸の奥がチリリと小さく痛んだ。
二人が、これからも変わらずに、俺と飯食ってくれっといーなぁ……。
「キト、イっていいか?」
「う、んっ」
何とか頷いたキトの脚を抱え上げるようにして、木田が上から叩きつけるように腰を打つ。
うーわ、木田激しいだろそれは……。
室内にじゅぷじゅぷと泡立った音だけが響くのはあれだ。
キトの穴周りがふわふわの羽に覆われているせいで腰同士がぶつかる音がしねーからだな。
「あんま強く腰ぶつけんなよ、キトの負担がでけーぞそれ」
木田は声には出さなかったが、頷いて、角度を少し緩やかにする。
木田は童貞でよくそこまでもつよな……。
俺なんて初めての時は、入れたらすぐイった気がする……。
随分昔の事だし、もうあんま覚えてねーけど。
通学路でよく一緒になる年上のおねーさんに誘われたんだよな。
あんときはすげー大人のお姉さんだと思ったけど、今の俺と同じ歳だったんだよな……。
キトはしばらく甘い声を激しく撒き散らしていたが「イっちゃう、またイっちゃうっ、やぁ、ぁあああまたクるぅぅぅぅぅっっっ」と叫んでからは時々くぐもった呻きをこぼすのみになっていた。
俺はベッド脇からナカイキし続けているらしいキトの顔色をよく見る。
唇の色は変わってねーよな?
酸欠になるとマズいからな。
顔を真っ赤にして、両手で口元を覆って、身体をビクビクと跳ねさせるキトはすげー可愛い。
「俺、も」
短い言葉と共に、木田が深くキトを貫いて動きを止めた。
普段あまり表情を変えない木田が、グッと眉を顰めた雄の色気漂う顔でキトを睨むようにしている姿に心臓が跳ねる。
ああ、木田は理性的な奴だけど、本質的に捕食者側なんだな……って、すげー実感させられるような顔だ。
思わずごくりと喉が鳴る。
あー……、俺、木田にだったら抱かれんのもアリだな。
これまでに何度か男に抱かれたことはあったが、俺はナカでイけた事がない。
つーか、どいつもこいつもあんまもたねーんだよな。
その点木田なら、初めてでこれなんだから、二回、三回ともなればすげーんじゃねーか?
それに、木田は乱暴な事しそーにねーしな。
俺を抱きたいっていう奴はなんでか乱暴な奴が多いんだよな……。
俺みたいに何でも持ってる奴を組み敷くのが良いとか言ってた奴もいたもんな。
……なんでそういう奴ばっかなんだろーな。
ああ、俺が……、普通じゃねーから……、俺のまわりにいる奴らも、普通じゃねーって事なんかな……。
「冴島? 眠いのか?」
木田の声に、俺はハッと顔を上げる。
いつの間に俯いてたんだろうか。
「ゴムはこの状態で捨てればいいよな? キトはこのままにしといていいのか?」
俺の言った通りに括られたコンドーさんを見て、俺は「おう、ばっちり」と答えた。
「キトは落ち着くまで触んねー方がいーから」
言って、冷えねーようにキトの肩と腹にかかるよう薄手の掛け布団をかける。
横向きに丸まってしまったキトの穴を覗くと、やっぱり赤く腫れていた。
まあ縁が捲れるようなことにはなってねーし、塗り薬だけ塗っとくことにして……。
もうこれ以上はさせらんねーな。
「キト、よく頑張ったなぁ。落ち着いたらそのまま寝ていーからな。服は俺達で着せとくし、ゆっくり寝てな」
キトは目を閉じたまま小さく頷く。
もう体力も限界なんだろーな。
木田は……と。
木田はいつものスンとした顔で自分のモノを拭いている。
「なあなあ、木田、俺と風呂入んねぇ?」
「ああ、そういう約束だったな…………、って、お前……」
頷いた木田が、俺の股間を見て顔色を変える。
「まさかとは思うが、まだヤる気なのか?」
「まさかじゃねーだろ、まだまだ夜は長いって!」
「悪いが、俺は明日も大学とバイトがある。そろそろ寝ないと明日に響く」
張り切る俺の言葉を、木田はあっさり却下した。
「何でだよー、もーちょいヤろーぜー? なぁなぁ、あと一回だけでもいーからさ」
だって……今夜が終わったら、もう、こんな風に三人でワイワイ出来なくなるかもしんねーんだしさ……。
俺が木田の腕に抱きつくと、木田は少しだけ考えてから、俺の顎を取った。
ん?
ちゅ。と触れるだけの優しいキスをして、木田は顔を離す。
んん…………?
「いや、キトとはしたが、冴島とはしていなかったと思ってな」
そう言った木田がほんの少し恥ずかしそうな顔でメガネを上げる。
「今夜のところはこれで許してくれ、今度は休みの前の日に呼んでもらえると助かる」
え…………?
「ま……、またしてくれんの!?」
木田は素朴な微笑みを浮かべて答える。
「ああ、冴島とキトが望むならな」
「望む望むっっ! 俺もまた三人でヤりてー!」
「大声を出すな、もう夜中だ」
木田の落ち着いた声にいつものように嗜められて、俺はにやける頬をむにむにと手で揉んで誤魔化した。
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