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第72話 最終回 達也サイド<シャンパン>

 「立花先生とおっしゃいますと?」と透真さんが尋ねる。 「あ、名刺をお渡ししますね。 青山の佐久間総合病院の院長ですが、今はミツワ未来財団の仕事をしています」 「へえ~、そうなんですか。では私も名刺を」 透真さんが差し出した名刺を受け取り、立花先生が「うわっ」と声を上げた。 「え、なになに?」と颯太さんが覗き込む。 「あのね、この方、あの車の会社の副社長さんなんだって!」 「ええーー! すご~い!」 碧人君の声が響き渡る。 もう、声が大きいよ! その時、「あれ、達也じゃないか! お前元気だったのか? 心配したんだぞ」 ゲンさんが大声で駆け寄ってきた。 ステラのメンバーも全員集まってくる。 「お前、そ、その首……どうしたんだよ?」とリョウさんが怪訝そうにする。 俺は思わずニヤッとしてしまう。 「はい、では紹介します。俺が結婚した、松永透真さんです」 皆が一斉に「ええーー!? もう結婚したのか!?」と驚きの声を上げた。 「早くないか?」とゲンさん。 「はい、そうなんですが……運命の人と出会っちゃったから」 一瞬、その場に沈黙が走る。 「運命ってあるのか? どうやってわかったんだよ?」と不思議がるゲンさんに、透真さんが優しく答えてくれた。 「デビュー曲の動画を見て直感したし、最初に会った時に匂いで分かりました」 またしても、しーんとなってしまう。 「運命ってあるんだねえ……へえ~、それは幸せだなあ」とゲンさんがしみじみと言った。 「はい、お陰様で」 そんな話をしていると、理事と桐生社長が前に立ち、パンパンと手を叩いた。 「はい、注目! 今日はファンミーティング、大成功でした。 ステラのメンバーも忙しかったと思うけど、素晴らしいステージだったよ。 ファンの方も皆さん大満足の様子だったね。 では成功を祝して乾杯しましょうか? 今日はね、すごいよ。 達也のご主人の松永透真さんから、シャンパンの差し入れが10本届きました!」 「おおーーーっ! ありがとうございます!」 あちこちから歓声と拍手が上がる。 「じゃあ、今夜は透真さんから乾杯の音頭をお願いしましょうか?」と桐生社長。 シャンパンが行き渡り、理事が合図を送る。 皆が透真さんを見た。 「では僭越ですが、ステラビートの皆さん、ファンミーティングの成功おめでとうございます。 お疲れ様でした。カンパーイ!」 「カンパーイ!」 プラカップが掲げられる。 最高だ。すごく嬉しい。 俺も透真さんと二人で改めて乾杯し、シャンパンを口にした。 喉にシュワシュワと心地よく通っていく。 あ~、おいしい! 「達也君、あっという間に幸せになれたね。良かったねえ」と颯太さん。 「はい、颯太さんのお陰です。今後ともよろしくお願いします」 「あ、ミツワの広報スタッフも来ているから、旦那さんを紹介してあげて」 颯太さんが広報スタッフたちを手招きした。 ……あれ、7人もやって来た。 「広報は人数が増えたんですか?」 「そうなのよ、すごいでしょう? 達也君のファングッズやファン対応は、 私たちが財団の仕事として引き受けますからね」と山下さんが微笑む。 「そうなんですねえ。はい、どうぞよろしくお願いします」 「あ、それと紹介します。俺の旦那さんで、松永透真さんです」 「松永です。よろしくお願いします。達也がいつもお世話になっています」 透真さんが、どこか余裕のある笑みを浮かべている。 「あのう、なんかすごいチョーカーですが、それは撮影してもいいものですか? 今後は取材などもあるかと思いますが」と山下さん。 透真さんが俺を見る。 「俺はいいけど、透真さんはどう?」 「全然かまわないよ。あ、名刺をお渡ししておきますね」 広報の山下さんがそれを受け取り、じっと眺めた。 「え、え……と、どうやって知り合ったんですか? 車のCMに出演したのはわかっているのですが、まさかの展開なんですか? その辺を全然知らないので、達也さんのHPやインスタにも出していいでしょうか? ぜひ取材をさせていただきたいです。 それと、どこまで公表していいのかのガイドラインもお願いします」 すると、颯太さんが口を開いた。 「待って待って、松永さん、いきなりですみませんねえ。 この人たちは根性の人たちなので、なかなか引かないんですよ。 もしお時間があれば、長いお付き合いになると思うので、 彼女たちに少しだけ時間を作っていただけないでしょうか?」 透真さんを見ると、ふふふと笑って少し照れていた。 「はい、いいですよ」 「あのう、ご自宅でくつろぐ写真などを撮らせていただけると、 大変ありがたいんですが……」と山下さん。 「はい、分かりました。どうぞいらしてください」 あ~あ、つかまっちゃったねえ。 俺、知らないよ~!     完結

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